「中国の消費者金融市場は、日本の30年前と同じ状況だ──」(久保健・プロミス社長)
ノンバンク大手、プロミスが中国事業を急速に拡大している。
同社海外事業の中心を担う、プロミス香港の営業貸付残高は、2010年12月の179億円から11年6月には198億円へと半年間で1割以上伸び、中国本土への進出も強化中だ。
10年7月に南部の深センに、続けて11年5月に北部の瀋陽に100%子会社を立ち上げ、12年も上海など沿岸部を中心に複数の都市に進出していく方針だ。プロミス深センは来期、早くも黒字化が確実視されており、「深センだけで30店舗は拡大できる余地がある」と、久保社長の鼻息は荒い。
好調の理由は、高い経済成長率に支えられた資金需要と“利益率”だ。同社の海外事業の営業利益率は11年3月期、なんと約43%にも上っている。
日本の上限金利20%に対し、香港の実質年率の上限は60%(手数料を含む)。また、中国本土も中国人民銀行の貸出金利の4倍までと定められ、7月現在、貸出金利は26%超だ。さらに本土では手数料がいまだ無制限。慣例的に金利とほぼ同額となっているため、大半の返済期間である1年間で50%近い粗利益を生んでいるのだ。
一方で、気になる貸し倒れは、中国本土では皆無だという。「進出間もないため、慎重過ぎるぐらいに与信リスクを手探りで測っている」(同社幹部)段階だからだ。
もちろん不安材料はある。将来的な規制リスクだ。お国柄、一夜にして状況が一変する事態もありうる。それでも、相次ぐ規制と過払い金の返還で縮む国内事業を鑑みれば、この“蜘蛛の糸”がしばらく切れないことを祈るほかない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)