“正統派”弁護士が嫌う
「マーケティング力」で生き残れ

 もっとも、適度なマーケティング力を発揮することは、実際には弁護士としての“正当性”にさほど影響を及ぼさない。たとえば、“ヲタク弁護士”をはじめ、ブログやTwitterでの発言が「2ちゃんねる掲示板」などで取り上げられることが多い、インターネット上で有名な弁護士たちの声を総合すると「たまたまネット上で図らずも有名となってしまい、マスコミから声をかけてもらう機会が増えただけ」と口を揃える。そして、こうも言う。

「弁護士としての仕事は真面目にしています。顧客もブログやSNSを見てきたという方は、顧客全体のうちごくわずか。顧客のほとんどは自力開拓した人たちばかりなんです」

 彼らは、「弁護士として法律が専門である以上、特に専門性というものを打ち出していない。顧客のニーズにできるだけ応じる。難しい場合は、他の弁護士と共同受任して職責を果たす」とも言う。その仕事ぶりは、意外にもオールドスタイルの弁護士に通じるところがある。

 彼らがその他大勢の弁護士たちと違うのは、インターネットを駆使することをいとわないだけのネットリテラシーを持ち、世間に向けて発信するだけのコンテンツを持っている点である。

 最近では、世代を問わず弁護士の間から、「そろそろブログでもはじめないと、もう顧客がやってこない」という声も聞こえてくるようになった。しかし、長年にわたって「マーケティング」を全否定してきた弁護士たちは、いざネットで発信しようにも、どのあたりに落としどころを持ってきたらいいかに頭を悩ませているようだ。

 たとえば、ある金融機関では、「同僚同士のホームパーティの様子」をSNSにアップするだけで、即座にコンプライアンス部門から「削除するように」と指示が出たという話もある。金融機関としての品位保持という観点からの“ダメ出し”だ。
 
 弁護士の場合、インターネット上でどこまでの表現が許されるのか。まだ業界としての見解や“常識”が確立していない状況だ。やり過ぎはもちろん問題だろうが、あまりに控え目な表現であれば、マーケティング機能を果たさないだろう。

 先に紹介したインターネット上で有名な弁護士の1人は、次のように語った。

「弁護士としての方針を打ち出す、もしくは自らのキャラを前面に出す。どちらにしても依頼者から見て、『この先生に頼んでみたい』と思われる内容でなければ依頼は来ない」