古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第3回は、少子化対策が失敗する理由について、1955年に製作された日本映画『愛のお荷物』を通して考えていくことにします。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)
必ずしも成功してこなかった
出生率引き上げ対策
安倍晋三政権は昨年、少子高齢化に打ち勝つ必要があるとして、「国難選挙」に打って出ました。さらに、安倍政権は「希望出生率」という考え方を示し、若い世代の希望が実現すると合計特殊出生率(1人の女性が生む子どもの数)は1.8 程度に向上すると、50年後に1億人程度の人口を維持できるという目標を掲げています。
しかし、これに限らず、出生率を引き上げようとする政府の対策は必ずしも成功してきませんでした。
その理由を考える手掛かりとして、連載第3回は1955年に製作された日本映画『愛のお荷物』を取り上げます。