人口の減少だけではなく、
世帯構造の激変にも目を向けよ

 高度成長期のわが国では、カップルと子ども2~3人の世帯が平均であり、かつ最大多数派であった。マーケティングも、こうした家族を対象に施策を打てば、まず大きく外れることはなかったのである。

 しかし、わが国の世帯構造は、近年、劇的な変化を遂げている。昨年の国勢調査によると、単独世帯(1人暮らし世帯)が32.4%と、最も多い家族類型になっているのだ。また、夫婦のみの世帯が19.8%、1人親と子どもから成る世帯が8.7%を占め、高度成長期の最大多数派であった夫婦と子どもからなる世帯は27.9%まで後退しているのである。

 つまり、従来の「夫婦と子ども」という家族類型を前提としたマーケティングでは、全世帯の3割にもリーチできないという状況がすでに生まれてきているのである。こうした世帯構造の変化に対応できない企業は、おそらく淘汰されていくのだろう。

 また、少子高齢化の深度も著しい。65歳以上人口の割合は23.0%まで上昇し、ドイツやイタリア(共に20.4%)を上回って、世界最高水準となっている。そして、これとは逆に、0~14歳までの人口の割合は13.2%と、ドイツ(13.5%)を下回って世界最低水準である。ちなみに、アメリカは0~14歳が20.1%、65歳以上が13.1%、中国は0~14歳が19.5%、65歳以上が8.2%というレベルであって、現時点では、まだ人口オーナス社会とはほど遠い状況にある。

 2010年代のわが国経済社会の舵取りを上手く行っていくためには、過去の成功体験のようなものはひとまず脇に置いて、以上に述べて来た「低成長(が常態)」かつ「少子高齢化と世帯構造の激変」というわが国の二つの現実を率直に見据えるところからすべて出発しなければならないと考える。

 決して、心地よい現実ではないかもしれないが、およそ現実から遊離した施策が有効であったためしはどこにもないのである。

(文中、意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)