コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。この連載では、書籍から一部を抜粋・編集して掲載する。今回は、誰もが気になる「年収」について、年齢やランクごとに紹介する。
希望年収を高く要求しすぎると「お見送りも」…
コンサルタントとしてプロフェッショナルなキャリアを歩むのであれば、自分の付加価値を示す年収にはこだわるべきだと思います。
ファームには給与テーブルやオファー年収の出し方があるので、これを正しく理解した上で交渉を行いましょう。この前提知識がないと、うまく希望年収を引き出せないばかりか、マイナスのイメージを与えてしまい、せっかくのオファーが一転して見送りになることもあります。
私自身が担当した求職者でも「オファーを出しても、希望年収との乖離が大きく来ていただけないと思いますので、検討した結果今回はオファーを見送らせていただきます」といわれた経験があります。
コンサルティングファームの年収は、コンサルタントのランクごとに給与テーブルがあり、オファー年収は給与テーブルに従うことになります。面接の評価でオファーのランクが決まり、ランクが決まれば給与テーブルに沿って年収が決まるのが基本的な流れです。これに他社状況や現在年収などを加味して、最終的なオファー年収が決まりますが、ランクに対してある程度の給与レンジ(幅)があるファームもあれば、ランクで一律にベース給与が決まっているファームもあります。
また、ファームの年収は、
・ベース(基本給)
・ボーナス(業績給、賞与)
・残業代(みなし残業としてベースに含まれているファームが多いです)
で構成されますが、ファームによってオファーレターに明確に記載される内容は様々で、ベースは必ず記載されますが、ボーナスや残業代は記載せずにオファー面談で説明するところ、想定額を記載するところ、大体のレンジで記載するところなどがあります。
さらに、これらとは別にサインオンボーナス(一時金)を付けてくれる場合もあります。サインオンボーナスとは、現在年収や希望年収との開きが大きい場合などに、オファーレターにサインする(オファーを受諾する)ボーナスとして、入社後に一度だけ支給されます。
私は最近、コンサルティング業界の年収水準は「高い」というイメージだけが一人歩きしている気がします。
確かに事業会社と比較すると総じて高めではありますが、若手のうちはそこまで極端に高いわけではありません。そのため、20代での平均年収が高い業界から転職する場合は、年収が下がることもしばしばあります。
商社や広告代理店からだと特に多く、金融業界でも一部の人は下がったりします。これはキャリアチェンジなので仕方のないことで、許容せざるを得ませんが、転職活動の初めのうちに、そもそもの転職の目的や将来的な年収について考える必要があるということです。
また、コンサルティングファームの昇進スピードはとても速く、昇給の幅も大きいので、一時的に年収が下がっても将来的なアップサイド(成長余地・伸びしろ)をふまえて検討する必要があります。
(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです)