メラトニン受容体作動薬の特徴は、自然な眠りをメラトニンそのものよりも強力に誘導する点にある。早い話、眠るまでに30分かかるところが20分に短縮されるわけ。懸念される副作用は傾眠や頭痛など軽度なものにとどまる一方、既存薬より効果が弱い。また、精神疾患や重度の不眠症を抱えるケースでは、使用経験が少ないので注意が必要だ。

 一方海外では、睡眠時間が日々ずれてしまう特殊なタイプの睡眠障害を対象に、同じメラトニン受容体作動薬の「タシメルテオン」による臨床試験が進行中だ。こちらは大うつ病を対象にした臨床試験の計画もあり、今年中にスタートする予定。うつ病と睡眠障害は「ニワトリが先か卵が先か」の関係で、睡眠の改善でうつ状態が軽減するケースも少なくない。体内時計の調節作用を介したメラトニン受容体作動薬の抗うつ効果が確認できれば、これまでとはまったく違うアプローチによるうつ病治療がかなうだろう。試験開始が待たれる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)