「紹介したい人がいるんです。私の大好きな人です」

 頼まれて、訪れたのは、一流クリエーターの家だった。渋谷から3駅目の人気エリアにある家賃50万円の豪華マンション。

「僕、ここで一緒に暮すつもりです」

 マンションは、Kちゃんのために借りたもの、可愛らしいポメラニアンも、Kちゃんのために飼ったらしい。

「すごい、愛されているね。よかったじゃない」

 帰り道、祝福すると、Kちゃんは浮かない顔で打ち明けた。

「だけど彼、奥さんと子どもがいるんです。私、奥さんにもとてもよくしていただいているんです。だから結婚なんてできません」

 ほどなくして、2人は別れた。激怒したクリエーターは、ポメラニアンを床に叩きつけ、殺してしまったという。

 次にKちゃんは、知人の勧めで、某有名出版社の名物編集者とお見合いをした。

(あんな悲惨なことがあったばかりなのに。彼女って実は、魔性の女かも…)

 響子さんは違和感を覚えた。

 編集者はすぐに、Kちゃんに夢中になり、電話攻勢をかけてくるようになった。しかし、Kちゃんにその気はない。居留守を使っていると、一晩に100回以上も電話してきては、留守電にメッセージを吹き込む。