
木原洋美
救えるはずの子どもが救えない…小児がんの"良薬"はどこへ消えた?「ドラッグロスト」の恐怖
小児がんの基本薬剤が出荷停止になった。背景にはいくつかの原因があるが、主因は最近新しい薬がもてはやされる中で、ほとんど利ザヤのない昔からの良薬の供給が滞っていることだ。小児がんの子どもや医療従事者たちにとって、由々しき事態である。これでは、救える命が救えなくなる――。「ドラッグロス」ならぬ「ドラッグロスト」の現状を探る。

日本人の98%が足りていない「最強ビタミン」とは?がんも予防する“処方箋超え”の驚くべき効果
日本人の多くは栄養素の摂取量が不足、また過剰であることが、さまざまな調査から明らかになっている。カロリーや塩分は必要以上に摂取している反面、タンパク質、食物繊維、カリウム、カルシウム等々、大切な栄養素は足りていないのだ。人にとって有益であるものの、圧倒的に足りていないビタミンとは何か。

「まずくて吐きそう…」患者に嫌われる病院食が、最近劇的に美味しくなった医療現場の事情
「病院食はまずい」とよく言われる。かつてはドロドロのキサー食などが提供されており、とても食べられたものではないものもあった。これでは治る病気もよくならないだろう。しかしここにきて、高級料理店顔負けの病院食を提供する病院が増えている。いったい何が起きているのか。医療現場の「今」に迫る。

「突然、涙が止まらなくなった…」ストレスチェックでわからない“隠れメンタル崩壊”を炙り出す、画期的な予防法とは
「もうダメみたい。仕事がいやでたまらない」ストレスチェックで問題がなくても、ある日突然倒れて休職してしまう人は後を絶たない。企業で労働環境の整備が進んでも、ビジネスパーソンのメンタルヘルス不調は増える一方だ。この状況を変えることはできないのか。具合が悪くても言い出せないのは、典型的な日本人の国民性だ。そんな国民性にマッチした、画期的な治療の研究が進んでいるという。

もはや国民病の「潰瘍性大腸炎」に光明、“100年の謎”解き、治療法を探り当てた医師たちの嗅覚とは
日本では20万人以上、世界全体で500万人以上の患者がいる潰瘍性大腸炎。原因はまだ完全には解明されておらず、日本では難病に指定されている。そんな「国民病」に一筋の光が差し込んでいる。京大のチームが潰瘍性大腸炎の原因となっている抗体を発見したのだ。これにより、「100年に一度」ともいうべき治療法が見え始めたのだ。

コロナ禍後も続く「子どもの嗅覚障害」深刻事情、放っておいたら一生が台無しに【専門家が警鐘】
大方の日本人にとって、新型コロナウイルス感染症は過去の記憶になりつつあるが、依然としてなかなか収まらない「後遺症」に悩まされている人は少なくない。その一つが「嗅覚障害」だ。実は、親が気付かずに嗅覚障害に悩んでいる子どもは多い。命に別状はないといっても、嗅覚障害はその子の人生を台無しにしかねない深刻な疾病だ。専門家が現状を解説する。

あるステージ4の大腸がん患者が病院で「手遅れ」と告げられたのは、すでに余命2カ月を切った段階だった。その後挽回するチャンスは幾度かあったものの、それを生かすことができないまま、患者は亡くなった。背景には、日本における「セカンドオピニオン」のハードルの高さがある。「あのとき、セカンドオピニオンを受けてさえいたら……」と悔やむ遺族の証言から、日本の医療に横たわる根深い課題を考えよう。

薬で救えるはずの命が失われる小児がんの過酷な現状、日本の非常識ルールが廃止されても残る課題
かつては「不治の病」と言われていたがんだが、治療の進歩や新たな治療法の登場によって「治る病」へと変化している。特に小児がんの10年生存率は大人と比べてもかなり高い。しかし、これまで存在した日本独自のルールに端を発する「ドラッグ・ラグ」「ドラッグ・ロス」の問題により、本来救えるはずの子どもの命が失われている面があることも事実だ。その実態を関係者に聞いた。

【医師が告白】“日本の恥”と酷評された「小児がん検診」を今こそ復活すべき理由
「世界に恥をさらした集団検診の失敗例」と酷評され、2003年に休止した「神経芽腫マス・スクリーニング」。しかし今になって、その有用性が改めて唱えられている。過剰診断と言われたこの小児がん検診が、実は罹患者の死亡率を半減させていたのだ。同検診はなぜ休止させられなければならなかったのか。そしてなぜ再開されないのか。検診の当事者たちに聞いた。

「線虫がん検査つぶし」であらわになった、PET検診の不都合な真実
線虫がん検査の精度は広告の内容よりもかなり低いのではないかという話題が、かねてより検査に疑念を抱いていた医療関係者らを中心に拡散されている。PET検診界の重鎮による試算もその裏付けとなっている。しかし一方で、PET単独では早期発見できるがんは多くないという事実もある。そもそもPET検診の関係者には、線虫検査の感度を検証できる立場にあるのだろうか。

糖尿病の治療薬がダイエット目的で爆売れ、怖い勘違いと正しい使用法
昨今、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬という2種類の糖尿病治療薬が爆発的に売れ、品不足となっている。体重を減らす効果があることで大きな注目が集まり、美容・ダイエット目的の適応外使用が増加しているためだ。本当に必要な患者に薬が行きわたらないことに加え、正常な人の使用は思わぬ副作用をもたらすこともある。

東北大学が推進するミラクルな高血圧対策「ナトカリ」って何だ?
高血圧予防には減塩が必須とされているが、慣れ親しんだ食生活を変えるのは難しいものだ。そこに登場したのが「ナトカリ比」を整えるという発想。東北大学が推進するこの考え方によると、塩分摂取を過度に気にせずに食事を楽しめるようになるという。その効果は想像以上のようだ。いったい、どんな取り組みなのか。

フルマラソンを走りきれる人もいれば、100メートルを走るのもやっとという人もいる。人によって体力はさまざまで、「ちょうどいい運動強度・運動量」が異なるからだ。運動強度を上げていって、有酸素運動が無酸素運動に切り替わり始める転換点がその目安なのだが、これを測る方法は50年前から変わっておらず、大がかりな装置が必要だった。しかし、昨年ファンケルが開発した技術を使えば、簡単・安価・正確に測定できるという。体力を「見える化」するとどんなメリットがあるのだろうか。

2月15日は「国際小児がんデー」。日本では2000~2500人の子どもたちが小児がんと診断されているが、医療の進歩によって約7~8割が治療を終えることができるようになっている。しかし小児がんは治すだけでは不十分であり、そして医療現場では切実に資金援助を求めているという。小児がん治療の課題を、国立成育医療研究センター・松本公一先生に聞いた。

新型コロナウイルス感染症から回復しても、後遺症の倦怠感やうつ症状に苦しむ人が増えている。WHOでは感染者の1~2割に後遺症が起こる可能性を指摘しており、日本では単純計算で200万~400万人が該当することになる。そんな中、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授が、後遺症の原因とメカニズムを突き止め、認知症治療薬「ドネペジル」が症状改善に役立つと発表した。後遺症に悩む人を減らすにはどうしたらいいのか、近藤教授に取材した。

がんは日本人の死因トップの病気であるにもかかわらず、検診受診率は低く、精度面でも制度面でも課題がたくさんある。「子宮頸(けい)がん」は女性特有のがんだが、特に若い女性は「恥ずかしい」「痛い」などの理由で受診率が非常に低い。しかしこの夏、アメリカで新しい検査方法が発明された。独自の生理用ナプキンを使い、婦人科に行かなくてもいいという画期的な方法だ。

第5回
ステージ0から分かる最新がん検診
かつて、がんは「告知=死」と恐れられました。ところが、抗がん剤やがん治療の進歩は目覚ましく、近年「がん全体の5年生存率は60%強」と言われるまでになりました。しかも、ある条件さえ満たせばほぼ90%は死なない病気になりました。ここでいうある条件とは「早期発見」です。早期発見して治療開始した症例だけを見ると、ほぼ100%に達しています。がんは早期に発見して治療すれば、延命ではなく、治癒できる病気になりつつあるのです。この連載では書籍『「がん」が生活習慣病になる日』から、「死なない病気」に近づけた条件の一つである部位別がん治療の最前線を紹介し、さらに二つ目の条件である「早期発見」のがん検診の最新情報も紹介していきます。

第4回
5年生存率96.3%!胃がんが5大がんから外される日
かつて、がんは「告知=死」と恐れられました。ところが、抗がん剤やがん治療の進歩は目覚ましく、近年「がん全体の5年生存率は60%強」と言われるまでになりました。しかも、ある条件さえ満たせばほぼ90%は死なない病気になりました。ここでいうある条件とは「早期発見」です。早期発見して治療開始した症例だけを見ると、ほぼ100%に達しています。がんは早期に発見して治療すれば、延命ではなく、治癒できる病気になりつつあるのです。この連載では書籍『「がん」が生活習慣病になる日』から、「死なない病気」に近づけた条件の一つである部位別がん治療の最前線を紹介し、さらに二つ目の条件である「早期発見」のがん検診の最新情報も紹介していきます。

第3回
乳がんはステージIの早期治療で5年生存率が100%、ステージIIでも95%以上
かつて、がんは「告知=死」と恐れられました。ところが、抗がん剤やがん治療の進歩は目覚ましく、近年「がん全体の5年生存率は60%強」と言われるまでになりました。しかも、ある条件さえ満たせばほぼ90%は死なない病気になりました。ここでいうある条件とは「早期発見」です。早期発見して治療開始した症例だけを見ると、ほぼ100%に達しています。がんは早期に発見して治療すれば、延命ではなく、治癒できる病気になりつつあるのです。この連載では書籍『「がん」が生活習慣病になる日』から、「死なない病気」に近づけた条件の一つである部位別がん治療の最前線を紹介し、さらに二つ目の条件である「早期発見」のがん検診の最新情報も紹介していきます。

第2回
大腸がんはステージ0で発見された場合、5年生存率が97.9%
かつて、がんは「告知=死」と恐れられました。ところが、抗がん剤やがん治療の進歩は目覚ましく、近年「がん全体の5年生存率は60%強」と言われるまでになりました。しかも、ある条件さえ満たせばほぼ90%は死なない病気になりました。ここでいうある条件とは「早期発見」です。早期発見して治療開始した症例だけを見ると、ほぼ100%に達しています。がんは早期に発見して治療すれば、延命ではなく、治癒できる病気になりつつあるのです。この連載では書籍『「がん」が生活習慣病になる日』から、「死なない病気」に近づけた条件の一つである部位別がん治療の最前線を紹介し、さらに二つ目の条件である「早期発見」のがん検診の最新情報も紹介していきます。
