派手なプレスリリースで注目される深センの自動運転バス。世界一流の技術が投入されているものの、実用化の具体的な目処が立つような状態ではない。プレスリリース先行のようにも見えるが、大規模な実験を繰り返すことは発展のために必要だ。深センはそういう実験のための都市でもある。(メイカーフェア深セン/シンガポール 高須正和)
世界中で注目された
深センの自動運転バス
12月4日、深センでフル自動運転のバスが運行開始されたというニュースが世界に流れた。
ドライバーはいない、切符はオンライン決済のみ、バス停にQRコードが貼られていて、乗車はそれで判断されるものだ。「自動運転」「フル電気自動車」「中国のスマホQR決済」「深セン」などのバズワードてんこ盛りの内容で、世界の注目を集めたようだ。
僕は今深センに住んでいるが、このニュースは当日、中国人の知人とのチャットで知った。チャットの相手は、「君もう乗った?」と、あたかも僕が日常的に乗っているバスが自動化されたように思っていたようだが、僕はもちろん乗ったことはないし、見たこともない。むしろ「自動運転のクルマが人間の運転するクルマに混じって道路を走るようになるのは、まだまだ先の話だ」と思っていた。
そこで、中国語がわかる友人たちに報道の細かい情報を教えてもらい、該当する広大なエリアを2~3時間自転車で走り回って、ついに発見したのである。