主力工場が被災した影響で、ビール類のシェアを落としたサッポロビール。成長路線への回帰を目指す2012年度の戦略を聞いた。

サッポロビール社長 寺坂史明<br />総合酒類メーカーへの変身と<br />ビール市場底上げで成長狙うPhoto by Masato Kato

──2011年度は新ジャンル(いわゆる第3のビール)を含むビール類売上高が前年度比6.7%減と苦戦したが、今年度は3.9%の増収計画だ。

 市場全体の縮小に加え、国内の5工場のうち二つが被災し、東北と関東甲信越という売上比率の高いエリアに商品を2ヵ月供給できなかった。さらに震災に伴う自粛や商品の供給寸断で6月まで広告宣伝を中止した影響が響いた。

 今年は攻めに転じる。安直なコストカットで利益率を上げることはしない。新商品開発とマーケティング投資を加速し、売上高を伸ばして営業利益の絶対額を上げる。12年度の目標である5340万ケースの売り上げは必達目標だ。

──ビール類シェア3位のサントリーと差が開きつつある。

 悔しいが、ライバルばかり見ず、まずは掲げた目標を達成し、自社の強みである家庭用商品のブランドを強化する。震災の影響で業務用商品の出荷が減り全体の市場シェアは落ちたものの、家庭用商品のシェアは伸びているからだ。