拡大画像表示
その特長は、立地優位性と災害対応力の高さにある。立地面では、納品先が多く集積する都心部に近く、配送リードタイムの短縮が可能。また、羽田空港や東京港、貨物鉄道駅が至近にあることで、トラック輸送だけでなく、陸・海・空の多様な輸送手段を活用することもできる。
災害対応やBCPの面では、ダイナベース自体が免震構造を採用することで建物としての安全性を確保。さらに、京浜トラックターミナルは国や東京都から災害発生時の支援物資輸送拠点に指定されており、72時間連続運転が可能な非常用自家発電設備が設置されているなど、発災時における高い事業継続性が担保されている。そして、トラックターミナル内に数多くのトラック運送事業者が拠点を構えているため、災害時の“足”となるトラックの確保が容易となる利点も兼ね備えている。
つまり、東邦HDにとって、さらなる安定供給体制を追及していくために必要となるほぼすべての要件を備えていたのが「ダイナベース」だったといえる。
濱田氏は「都内に物流センターを保有していたが、面積が狭く、それに代わる大きな倉庫を探していた。しかし、なかなかいい物件が見つからずに諦めかけていた時に、偶然ダイナベースの存在を知り、竣工前にもかかわらず即断即決した」と選定の経緯を振り返る。
「これだけのロケーションで、大規模の物流拠点は都内にはほぼない。1階部分を除いてまだ空いていると聞き、すぐに『全部、借りるように』と指示を出した。なによりも魅かれたのは、トラックターミナルの中にあること。ひとたび災害が発生すれば、これまではトラックにセンターまで来てもらうしかなかったが、ダイナベースであればすぐそばに多くのトラックがあり、給油所も併設されている」。
東京都内に大型拠点を持つことの真の意味
東邦HDが都内に大型物流拠点を持つことにこだわる理由について、濱田氏はさらに話を続ける。
「仮に首都直下型の大地震が発生した場合、東京と千葉、東京と神奈川との県境にかかっている橋は通行できなくなる可能性がある。そうなった場合、都内に保管容量の大きな倉庫を確保していないと、必要な物資を供給できないことも想定される。災害時にもっとも求められる物資は水や食料と並んで医薬品。災害の規模によって一度に何千人分の薬が必要になるケースも考えれば、あらゆる種類の医薬品が在庫可能な大型物流センターが必要になる」。