まずは中小企業の給料アップか
全体的に高めのベアが期待できる

 そして人手不足は深刻な状況にあります。日本に限らず、海外でも人材の囲い込みが始まっているほどです。現状の人手不足は、運輸、介護など、雇用形態別では非正規雇用へ偏在しています。しかし、これが幅広い分野で人手不足に陥ると、優秀な人材を確保し、競争力を高めるため労働分配率を高める、つまり給料を上げようとする企業が増える可能性があります。

 ちなみに、正社員の有効求人倍率も長い間1倍割れ(正社員が余っている状況)が続いていましたが、昨年6月に1倍となった後、この1月には1.07倍と緩やかながら正社員が不足している状況になってきています。正社員の賃金は、これまでインフレの影響を受ける一方、労働需給の影響を受けてこなかったとの指摘がありますが、徐々に労働需給の影響度合いが高まると考えることができます。これは、特に人手不足感が強い中小企業に表れるでしょう。

 最後に、今年の春闘でも日本企業がこれまでと同じようにインフレを考慮して賃金を決定すると仮定して、今年の賃上げを占ってみましょう。

 過去1年のインフレ率を0.5%、今後のインフレ見通しを1%とすると、これまでのインフレと賃上げの関係性からは今年のベア賃上げ率は0.7~0.8%程度になると見られます。足元で伝えられている電機企業の交渉経過によると、前年を上回る0.6~0.7%程度の賃上げに向けて最後の調整に入っている模様です。賃上げに慎重とみられる外需型企業ですら、高めの賃上げとなる可能性が出てきています。こうした経過から、全体でも高めのベアを期待したいものです。

 今回、賃上げ目標の「3%」は高いハードルではありますが、目標までいかに迫れるか、3月14日の「春闘」の集中回答に要注目です。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)