ゼネコンのリニア談合で逮捕者、地検特捜部の次の狙いは?地検と徹底抗戦の大成建設(東京都新宿区)。約3カ月間で25回の任意聴取に応じたにもかかわらず逮捕された、と怒り心頭に発する Photo by Hiroaki Miyahara

 今月2日、リニア中央新幹線の工事をめぐる談合事件が、とうとう大手ゼネコン幹部らの逮捕に発展。ゼネコン業界に衝撃が走った。

「まさか逮捕に踏み切るとは思わなかった。見せしめとしか思えない」と大手ゼネコン幹部は言う。

 見せしめと断じるわけは、東京地検特捜部により独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕されたのが、談合に関わったとされる4社のうち、容疑を否認する2社、すなわち大成建設と鹿島のリニア担当者だけだったからだ。

「到底承服致しかねる。嫌疑をかけられている内容は独禁法違反に該当しない」

 逮捕という事態に、そう地検との対決姿勢をあらわにした大成に限らず、ゼネコン側には談合という意識は希薄だ。談合を認めた清水建設も社内弁護士が独禁法の課徴金減免(リーニエンシー)制度の活用を勧め、不承不承ながらだったという。4社以外のゼネコン幹部は心情をこう代弁する。「例えるなら、時速100キロ制限の高速道路を105~110キロで走っていたら捕まったという感じだろう」。

 逮捕に至った以上、起訴は避けられそうもなく、そうなれば対決の場は法廷へ移る。だが、立証のハードルは低いとは言い難い。

「独禁法違反の犯罪とはいえない」と地検を批判するのは、元検事の郷原伸郎弁護士だ。