何かを考えようとするとき、私たちは「当たり前のこと」と思い込み、無意識のうちに前提条件に縛られていることが多い。連載第2回では、これを示す寓話と、前提を逆転させる発想トレーニングを紹介する。
 

9つの点を一筆書きで結ぶには?

 多くの場合、前提とはあまりにも基礎的、根本的なもので、疑ってかかる気にもなれないようなことがある。図を見て欲しい。

「前提条件」にとらわれた5匹のサルのお話<br />

 9つの黒い点を3本以下の直線、それも一筆書きで結ぼう。ペンを紙から離さないで9つの点を全部通るように。

 難問だ。たいていの人が2つの前提に囚われているからだ。

前提1 黒丸が囲まれた枠の外に線を延ばしてはいけない。
前提2 線はそれぞれの黒丸の中心を貫かなければならない。

 どちらの前提も、問いの中では全く触れられてない。2つの前提を疑ってかかれば、問題は簡単に解ける(答えは記事の最後に)。

 トーマス・エジソンが新しく従業員を雇う時、求職者を招いてスープを出したそうだ。その人がスープを味わう前に塩をかけた時点で、不合格となった。エジソンは、日常生活の中で思い込みを多く持っているタイプの人間は雇わなかった。発明王が望んでいたのは、自分で前提を確かめてから挑戦する人物だった。

 何事にも絶対的なものなどない、と知ることが重要だ。