世界的に有名な創造性開発の専門家、マイケル・マハルコによれば「自分を創造的だと思っている人とそうでない人とでは、出てくるアイデアが大きく違ってしまう」という。そこで今回は、このことを実証したある心理学者の研究と、自分の価値を確信できる創造的な態度を養うトレーニングについて紹介する。
「創造的でない」社員から斬新な企画が出るようにする方法
ある大手出版社のCEOが、自社の編集やマーケティングに携わる社員たちに創造性がないことを気にかけていた。彼は創造的な社員とそうでない社員の違いは何なのかと思い、ある心理学者に調査を依頼した。
その心理学者は、社員たちを1年間にわたって調査した結果、創造性のあるグループとそうでないグループの間には、たった1つの違いしかないことを発見した。それは、「創造的な人は自分が創造的だと思っている」し、「創造的でない人は自分が創造的でないと思っている」ことだった。自分を創造的でないと思っている人は、現実を歪めて認識してしまっている。この時点で、すでに創造的になるきっかけを失っているともいえる。
調査結果を踏まえて、CEOから依頼を受けた心理学者は、自分のことを創造的でないと思っている社員の考え方を変えるために、2つの簡単なプログラムをつくって実行した。すると1年後には、はじめ創造的ではないと自己認識していた社員たちが、創造的だと自己認識していた社員たちよりも、何倍もの創造性を発揮しだした。いったん態度・考え方が変わると、さまざまな課題に注意を払うようになり、信じられないくらいの創造性が現れはじめたのだ。
次の年には、「創造性がなかったはずの社員」たちから、数多くの斬新な企画やベストセラーが生まれた。彼らはきっかけを得て、自分自身を変え、周囲の世界を変えてしまった。
これほどまでに人間を変えてしまった方法とは何か。それは、「セルフ・アファメーション」と「クリエイティブ・アファメーション」というプログラムである。