「経済制裁で核・ミサイル開発の資金源を断つ」と言う人も少なくないが、弾道ミサイルは構造が航空機よりはるかに簡単だ。

 燃料と酸化剤の2つのタンクを持ち、バーナーで燃やすが、約7、8分で日本に届く中距離ミサイルの燃焼時間は1分程、米国に届く大陸間弾道ミサイルでも5分程、その後は惰力で弾道飛行するからロケットエンジンの寿命は短くてよい。使い捨てのライターに似て製造コストは意外に低いのだ。

 昨年8月30日、河野太郎外相は国会で北朝鮮の核・ミサイル開発経費につき「韓国外交部との意見交換によれば、昨年実施した2度の核実験と二十数発のミサイル発射で少なくとも200億円」と答弁した。日本が導入中のF35A戦闘機は1機146億円だから200億円はその1.4機分。北朝鮮のGDPの0.6%程度だから「経済制裁で核・ミサイル開発の資金源を断つ」のは困難だ。

 金正恩委員長は先代以来の「先軍政治」に代え、経済と軍事の双方を発展させる「並進路線」を2016年から唱えているから、経済制裁が徐々に効果を表すことは困るだろう。だがこれまで世界で多くの経済制裁が行われたが、それで政権が倒れた例はない。結局は「嫌がらせ」にすぎず、むしろ国民が他国の圧力に反発し、団結を強める方向に作用した例が少なくない。

 こうしたことを考えると、北朝鮮が核・ミサイル実験の凍結を「担保」に出す形で、米国との対話を求めるのは経済制裁逃れよりも、米国の攻撃を避けることが主目的、と考える方が自然だ。

武力行使に慎重な米軍首脳
「何をするかわからない大統領」

 米軍は昨年、例年の米韓合同演習「フォール・イーグル」(3月7日~5月30日)、「キー・リゾルブ」(指揮所演習、3月13日~24日)「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン」(8月21日~31日)を行った。