ウィンターコルン氏の後任としてCEOに就任したマティアス・ミュラー氏は、特に都市部で直面する大気汚染や交通渋滞の問題に触れ、「もしもわれわれがモビリティーの自由を守り続けたいのであれば、車や運転に関わる常識と思われる多くのことと決別しなければならない」と、変革の必要性を強調する。

 その中でもVWグループが、この2年余りの間に急加速させたのが、電気自動車(EV)へのシフトだ。17年9月に発表した新戦略「ロードマップE」によれば、25年までにグループ全体で約50モデルのEVを発売し、その年間販売台数は最大300万台に達すると見込む。

 そのため、EVに必要なバッテリーの調達などで総額500億ユーロ(約6兆6000億円)超という業界最大規模の投資を行う。すでに韓国のLGグループやサムスンSDIなど複数のメーカーからの調達を決めた。

 今月、スイスで開催されたジュネーブ国際自動車ショーでも、VWだけでなく、傘下のアウディやポルシェなどグループの総力を挙げたEVシフトの姿勢をアピールしてみせた。

 VWが世界初公開したEVコンセプトカー「I.D.VIZZION(ビジョン)」は、1回の充電による航続距離が最大665キロメートルに達する。人工知能を搭載し、ハンドルやサイドミラーがない完全自動運転車で、VWはビジョンを含む「I.D.」シリーズの4モデルを、20年以降に順次発売していく考えだ。

EV300万台計画達成の鍵になる
“お得意さま”の存在

 VWが急速なEVシフトを進められるのは、販売が見込める“お得意さま”の存在があるからだ。中国である。

 中国の新車販売台数は17年に約2888万台に達し、他の追随を許さない世界最大の自動車市場だ。その中国でVWグループは14%の販売シェアを握る。