報道記者から、ニュースキャスターへと転身、さらに子ども向けのテレビ番組「週刊こどもニュース」のを担当した池上彰氏。難しいことをいかに「わかりやすく」伝えるかに取り組んできた池上氏に、説得の手法、相手を動かす極意を聞いた。
池上彰 ジャーナリスト |
――最近、話し方や説得に関する本が増えていますね。
昔は、話し方を勉強することはなかった。人前で話をするのは結婚式のスピーチぐらい。でも、現在では、会社でも、企画を通すため、みんなの前でプレゼンテーションをしなさいと。黙々と言われたことをやっていればいいという時代ではなくなった。
――いつ頃から、こうした傾向が顕著になったのでしょうか。
とりわけ変わってきたのは、ルノーのカルロス・ゴーンさんが日産自動車に乗り込んできて、何をやりたいのか目標を定め、責任を持ちますと約束、コミットメント(公約)した頃からでしょうね。ゴーンさん以降、みんなの前で、やりたいことをプレゼンすることが多くなりました。
――以前は、不言実行とかいわれていましたね。
男はそんなにしゃべらなくてもいい、結果を出せばいいと思われてきたのですが、今はそういう時代じゃない。言わなければ、わからないよと。わかってもらうにはどうすればいいのかというニーズが高まっています。
――池上さんは、『相手に「伝わる」話し方』という本を書いておられますが。