問題はここからだ。ゴネ始めた森友側に対し、財務局は当初、地盤調査が「信頼に足るものか(中略)判断できない」「本地の全体の軟弱地盤レベルを判断できるものではない」と整理していた。

 さらに、地質調査会社にも意見を求めており、「特別に軟弱であるとは思えない」との見解も引き出していたにもかかわらず、その後、なぜか森友側の調査結果を鵜呑みにするようなかたちで軟弱地盤だと判断。法務の担当者から必要性を指摘されていた、貸主である国としてのボーリング調査をすることもなく、不動産鑑定士に軟弱地盤であることを前提に、土地の評価をやり直すよう依頼している。

 大阪航空局も同様だ。過去に数回にわたって地質調査を実施しており、森友側の「軟弱地盤で費用が想定以上にかさむ」という主張を跳ね返せる材料を持っているにもかかわらず、議論をしたような形跡は見えない。

 森友側が首相夫人や政治家の名前をフル活用することで、思惑通りに交渉が進み、土地の鑑定をやり直した結果、国有地の賃料は当初の年3285万円から、2725万円にまで下がることになった。

国有地というマル政案件

 財務省は、地質調査会社に意見を求めたくだりを決裁文書から丸ごと削除した上、改ざん後の文書ではあたかも軟弱地盤によって土地の再鑑定が必要になったかのように書き換えており、地盤をめぐるやり取りがいかに財務省の“急所”であったのかが伝わってくる。

 一方で疑問を覚えるのは、国有地を不当に評価したとして背任を疑われかねない行為を、何らの政治的圧力もない中で、役人たちが果たして自ら進んでするのかどうかということだ。

 財務省の元事務次官は「国有地は、基本的にマル政(政治案件)ですから。客観的評価を基に粛々と手続きをするだけといいながら、実態は価格提示を含めて交渉そのものなんですよ」と話す。その言葉からは、国有地取引をめぐる底知れぬ闇が見えてくる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)