財務省が自ら改ざんするなんてあり得ない、首相や官邸の圧力があったはず――。そんな見方も多く出ているが、実は27年前に起きた証券スキャンダルでも、旧大蔵省はインチキ行為を行った。ズルをするというのは、財務省という組織に染み付いたカルチャーなのではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)
マジメな財務官僚が
なぜ暴挙に出たのか
財務省の不正が次々と露呈して、安倍・麻生コンビが窮地に立たされている。
財務官僚のように国を思い、規律を守るマジメな方たちが、自分から公文書の書き換えすることなどあり得ない。きっと首相や官邸がすさまじい圧力をかけて、改ざんをさせたに決まっている――。
マスコミや野党のみなさんのロジックはざっとこんな感じだが、これまで多くの「不祥事企業」を間近で見てきた経験から言わせていただければ、かなりバイアスのかかったものの見方だと言わざるを得ない。
断っておくと、安倍・麻生コンビをかばっているわけではない。ここまでくると、安倍首相が佐川宣寿氏を呼びつけて、「わかってるよね」などと忖度を要求した可能性もゼロではないので、ぜひ徹底的に調査をしていただき、もしそうならさっさと退陣に追い込んでいただきたい、と心から思っている。
ただ、「ストーリーありき」の追及は問題の本質を見誤って危険だ、と申し上げているのだ。なぜかというと、マスコミが「不可解だ」と驚いている、マジメな人々がありえないような杜撰なインチキをおこなうという構造は、実は「組織不祥事」のお約束というか、定番パターンだからだ。