それで彼が怒り出した。ここは話が脱線するところなのだが、日本支社の同僚がビジネスの交渉相手に「忖度してほしい」と言ったことを思い出し、「わが社の誇りあるビジネスについて、そんないい加減な値引きを持ち出すのは絶対にいけない」という話になったのだ。「いや、あれは場を和ませるジョークなんだ」ということを説明して、理解してもらった。これはまあ、今回の記事としては、あくまでサイドストーリーである。

政治家を慮り官僚が人生を棒に振る
外国人には理解不能な森友問題

 話がいったん収まったと思ったら、周囲が「モリトモ」について詳しく説明をし始めたので、またそちらに話題が戻ってしまった。

「なぜ役人が公文書を書き換えたんだ?」というのが彼の質問。

「それが忖度というもので、偉い人が文書の内容とは違う内容の国会答弁をしたから、下の人が気を利かせて、命令されもしないのに記録を書き換え、つじつまを合わせたんだ」

「それは日本では犯罪ではないのか?」

「公文書の偽造は犯罪だから、そのことは日本でも問題になっている」

「わからない。なぜ言われてもいないのに想像だけで部下が犯罪に手を染めるんだ?大臣からの命令ではないのか?」

「大臣は命令していないんだ。しかし、誰かはわからないが、上級官僚のうちの誰かが忖度して改竄すべきだと下に命令したのだろう。一番下の方の役人は、いやいや犯罪に手を染めたと言われている」

「わからない。命令も指示もないのに、それも数年しかそのポジションにいない政治家の立場や答弁を守るために、何十年も勤め続けている上級官僚がなぜ犯罪に手を染めるのか」

 彼が「わからない」というポイントを聞くと、どうも2つの文化的な違いが「理解できない」ということらしい。1つは明確な指示なしで、阿吽の呼吸だけで政治家と官僚の間で非常に重要な政治問題の処理ができるという点だ。