森友・加計学園問題で「忖度」という言葉が一躍話題となった。官邸の意向を官僚が忖度したのではないかという指摘だが、その「忖度」を生む元凶が内閣人事局の存在だと言われている。それは本当なのか。元官僚の筆者が解説する。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
内閣人事局が
「忖度」を生む元凶なのか
森友学園問題、そして加計学園問題で「忖度」という言葉が一躍流行語のようになったのはご承知の通り。
森友問題における国有財産の売却に関する決裁文書の改ざんをめぐり、「財務省の担当職員が官邸の意向を『忖度』したのではないか」という疑惑から再び注目を集めることとなった「忖度」。ついには佐川元国税庁長官の国会への証人喚問にまで至ったが、「忖度」に関する新たな事実は得られなかった。
同時に、これは「忖度」がなかったということに関する新たな事実も得られなかったことも意味している。要するに真相はまだまだ「闇の中」ということである。
さて、この「忖度」との関係で話題となっているのが内閣人事局であり、「この組織が『忖度』を生む元凶である」と指摘されるようになってきている。
その理由は、国家公務員の幹部人事を、官邸の下、内閣人事局に一元化したことで、人事への官邸の影響力が強くなり、官邸の意向を踏まえなければ出世できない、官邸の意向に反することをしようとすれば左遷される、そうしたことを懸念して国家公務員が官邸の意向に従順に従うに止まらず、それを先回りして過剰に「忖度」するようになった、といったものである。
確かに、なんとなくその通りであるように聞こえるが、実際はどうなのだろうか?
そもそも内閣人事局とはどのような組織で、どのような経緯で誕生したのか、そういったことを紐解き、整理していくと、この問いの解が導き出されるように思われる。