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“集金マシン”としてのソーシャルゲームに明日は創れない!「ポケモン+ノブナガの野望」の制作トップが語るビジネスサステナビリティ

――石原恒和ポケモン社長×襟川陽一コーエーテクモゲームス社長 
スペシャル対談

石島照代 [ジャーナリスト]
【第27回】 2012年3月19日
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石原: だから、「いつまで僕たちポケモンやるんだろうね」って社員が疑問に思うようになったら、うちの会社はつぶれるでしょうね(笑)。でも、やることはまだいっぱいあるから。

コンテンツビジネスのサステナビリティの原動力は、
心理を逆手に取った集金マシンの働きではなく、いい驚き

石島:最後は、「ポケモン+ノブナガの野望」の話で。取材の前に10時間くらい遊んでみましたが、とてもおもしろかったです。「信長の野望」のファンのお父さんが、「ポケモン」ファンのお子さんと一緒に遊んだら楽しめそうだなあと思いました。誰でも遊べるように作ってあるんですけど、「信長の野望」で味わえるシミュレーションのおもしろさも再現されている。これはとてもよいゲームソフトだな、と思いました。

襟川:それはありがとうございます。今回の「ポケモン+ノブナガの野望」は小さいお子さんには初めてのシミュレーションゲームになると思います。「シミュレーション」という名前とは関係なしに、新鮮な面白さを感じていただけたら、本当に嬉しいですね。

石原:僕は最後まで遊びましたが、ポケモンソフトとしてしっかり数が狙えるクオリティまできたという手ごたえはあります。ただ、遊びの種類がどこまで今のポケモンファン層に届くのかっていうのは、まだ半信半疑。でも、僕は「ポケモン+ノブナガの野望」が「信長の野望」シリーズの中でもっとも売れるソフトになってほしいし、そうなりたい。

襟川:この作品は、シミュレーションゲームファンだけでなく、幅広い方に遊んでいただくために、丁寧に、しっかりと作り込みました。日本だけでなく、世界中の子どもたちがこの作品を通してシミュレーションゲームの楽しさを知ってくれると同時に、「ノブナガ」や「ケンシン」「シンゲン」などの名前を覚えてくれたら嬉しいですね。

石島:繰り返しになりますが、「ポケモン+ノブナガの野望」のすばらしい点は、「ポケモン」という子どもにむけたキラータイトルと、「信長」という、老舗&ゲームファン以外にも届くシリーズの、全く想像外の組み合わせであることだと思います。この「ありえない」組み合わせが実現するのも、おふたりのように柔軟な思考ができるゲーム業界トップが多いからなのでしょう。

 さらに、いわゆる従来型のゲーム業界は、「面白ければ何でもやろう」という原動力を上から下まで共有できる風土こそが強みだと思います。心理を逆手に取った集金マシンの働きではなく、「ポケモン+ノブナガの野望」のように、いい意味での「ありえない」驚きこそが業界の明日を創り、サステナビリティを保証するはずです。

 あたらしい驚きをなんとかして産もうと日々苦心している業界人の皆さんの働きに、今後も期待しています。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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