3年連続の3月採用広報開始となった2019年新卒採用は、インターンシップの最低日数要件が緩和され、1日で完結するキャリア教育プログラムなど採用広報解禁前からの接触が増加。人材獲得競争が激しさを増す中、学生の就職に対する意識はどう変わったか。その変化を読み解く。
(調査・分析/(株)ダイヤモンド・ヒューマンリソース 新卒メディア事業局 局次長 高村太朗)

【文系女子】就職人気企業ランキング2018©ダイヤモンド社 2018 禁無断転載
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 東京海上日動火災保険が3年連続で1位となったほか、三井住友海上火災保険(15位→6位)、損害保険ジャパン日本興亜(29位→7位)と損害保険業界の躍進が目立った。

 1位の東京海上日動火災保険は、長年にわたり女性が活躍しやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる。女性社員が担う役割を変え、活躍するフィールドを広げる「業務革新プロジェクト」や「役割変革」などの取り組みにより、「2013年度ダイバーシティ経営企業100選」をはじめとした第三者機関からの評価も高い。このように女性の人材活用を進めていることが3年連続で1位となった要因であろう。

 昨年の15位から6位と大幅にランクアップした三井住友海上火災保険は、懇親会型・EXPO型セミナーの「MS FESTA」を開催している。女性活躍をテーマに、制度の概要はもちろん、実際に制度を活用した社員の体験を聞いて、キャリアをイメージできる機会を提供しており、参加した学生からは「安心して長く働ける環境があることがよく分かった」「生き生きと働いている先輩の話を聞けて、ますます興味を持った」と好評だった。また、新時代を担う女性リーダーの継続的な育成を目的として、17年10月から「MS女性アカデミー」を開始した。時代の潮流に合った新しいマネジメントスタイルの習得を目指すなど、女性活用に対する真摯な取り組みが好感されたと考えられる。

 総合商社は2位の三井物産を筆頭に、伊藤忠商事(3位)、住友商事(4位)、三菱商事(5位)とベスト5に4社ランクインした。中でも三井物産と三菱商事は、女子総合職の採用人数を増加させており、文系女子学生採用に対する熱意のほどがうかがえる。

 一方で、文系女子学生の憧れの的として高い人気を誇っていた航空・旅行業界は全日本空輸(ANA)(9位→13位)、日本航空(JAL)(8位→14位)、ジェイティービー(JTB)グループ(17位→46位)と順位を落とした。女性人気が高いテーマパークを運営しているオリエンタルランドも21位から42位と順位を落としており、知名度の高さや憧れが就職先としての人気には必ずしも直結しない傾向が出てきている。

 女子学生の採用人数が多く、人気を集めていたメガバンクも、三菱UFJ銀行(5位→8位)、みずほフィナンシャルグループ(7位→9位)、三井住友銀行(12位→23位)と順位を下げた。

 メガバンクは一様に事務分野の業務自動化と国内店舗の縮小を公表しており、一般職やエリア総合職を志望する女子学生にとっては、活躍の場が限定ないし減少する可能性があると危惧したためと考えられる。

 全体的に、男女間の志望に大きな差がなくなってきていることも近年の特徴の一つである。

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