「平井氏はすでに任期を2期務めている。彼はまだ若いが、CEO辞任は日本では比較的普通の現象である」と述べた。陳言氏はさらに、「多くの企業において、一度成功を成し遂げた経営者だからといって、長期的な繁栄を実現できるとは限らない」と語っている。

 吉田氏がソニーのCEOに就任した後、平井氏はソニーの会長に昇進した。そのため陳言氏は、収益性を維持していくために平井氏の戦略を継続していくのが妥当で、吉田氏の肩の荷はさほど重くないと予想する。

 将来的にソニーはどこへ向かうのか? 陳言氏は、ソニーは他の企業より高度な製品を開発することで常に知られていると語る。しかし近年、ソニーの革新的な製品が市場に出ることはほぼなくなっている。吉田氏は、「かつてのように、ソニーが新たな時代を代表する革新的な製品を生み出すようになるのが夢だ」と語った。しかし陳言氏によれば「吉田氏の時代にこの難しい課題に立ち向かい、多くの人の注目を集める製品を開発することは、かなり難しいだろう」。

 陳言氏は、ソニーだけでなく、日本のほかのエレクトロニクス会社も“消費者の目をキラキラさせるような製品”が不足していると言う。多くの人に訴えかける製品が登場しないのだ。技術革新というのは、それ自体がもたらされるのが難しいだけでなく、日本企業の経営革新や中間層の生産性の低さ、経営体制の官僚化、そしてグローバリゼーションにおける中国企業との競争によって脅かされている。ソニーが吉田体制においても現在の収益性を維持できるかどうか、結論付けるのは難しい。

 実際、平井体制の時代、ソニーは有機ELテレビやフルサイズのコンパクトデジタルカメラなどの製品を通じて、テレビやカメラのハイエンド市場シェアを回復した。しかし、ソニーがビジョンとして掲げる、ウォークマンのような真に破壊的で革新的な製品を開発し、資本市場においてサムスンのような他のテクノロジー企業との市場価値の溝を埋めることは、依然として吉田氏にとっての挑戦となる。