皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
2018年3月期の決算発表が終わり、上場企業の純利益は前期と比べ、35%程度の増益と好調でした。これは、内外経済の好調に加えて、事業再編が収益力を高めている結果によるものです。そこで今回は、事業再編などを含めた、企業の株式価値向上への取り組みについて取り上げたいと思います。
注目された決算は35%の大幅増益、
「事業の選択と集中」による収益力改善が顕著
日本の上場企業の3月期決算発表が終了し、純利益は前期比35%程度の増益(金融除く全産業)と大変好調なものとなりました(日本経済新聞社集計)。売上高純利益率は前期比1%ポイント改善の5.3%となり、連結決算が本格化した2000年以降で初めて5%台に乗せ、過去最高を更新しました。日本経済の拡大が続いていることに加えて、海外経済の回復を背景に売り上げが伸びたことや円安も追い風になりました。
今回の決算で注目されるのは、事業再編などに地道に取り組んできた企業の中に、収益が大幅に改善した企業がみられることです。企業と株主は、株式価値向上を共通の課題と認識して株式価値の向上に取り組んできました。事業構造の再構築(選択と集中)などの経営努力を積み重ねることによって、収益力の底上げが進んだ結果と考えられます。
「事業の切り離し」に慎重だった日本企業も
海外との競争激化、株主の要請等で事業再編へ
ここ数年、日本企業はコーポレートガバナンス(企業統治)や経営戦略、財務戦略を通じて、一方、投資家は企業との対話や議決権行使などにより、株式価値向上に取り組んできました。
株式価値向上の手段として増えてきているのが、非中核事業の切り離しなど事業の再構築です。また、決算時などに発表される中期経営計画などで事業の再編を取り上げる企業が多くみられ、株式市場でもそれらの取り組みによって利益率が改善した企業を評価する動きがみられます。また上場子会社が非中核事業として売却される場合、売却価格にプレミアムがつく(発表時の株価より高い価格)ことが多いため、市場参加者の注目は高くなっています。