アップルは1月27日、ゲームや電子書籍が楽しめる多機能端末「iPad(アイパッド)」を公開した。発売は3月の予定で、最安機種は499ドル(約4万5000円) Photo(c)AP Images |
先週の1月27日、アップルが噂のタブレット・デバイス「iPad (アイパッド)」を発表してから、これが新聞社や雑誌社などの旧来型のメディア企業にどんな変革を迫るのかが話題になっている。そうした中で、アップルと組んで「何をやってくれるか楽しみ」と米国で“いの一番”に名前が語られているのが、雑誌社のコンデナストである。
コンデナストは、映画「プラダを着た悪魔」のモデルとなった有名なファッション雑誌『VOGUE(ヴォーグ)』のほか、男性雑誌の『GQ』、文芸誌として名高い『The New Yorker(ニューヨーカー)』、そして「ロングテール」や「フリー」の著書で知られる名編集長クリス・アンダーセン率いるテクノロジー・カルチャー雑誌『Wired(ワイヤード)』など、20誌近い雑誌を出版する。創業は1907年だが、未だに家族経営的な非公開会社で、ユニークな雑誌の編集方針や経営方針には、世界のメディア界から注目が集まっている。
そのコンデナストが、先日のiPad公開を受け、自社のコンテンツを早速iPad向けに発売する準備をしているというのだ。
アメリカの雑誌社はかねてから、紙媒体“以降”の存続を目指して、さまざまな実験を繰り返してきた。だが、ウェブサイトに無料コンテンツをやみくもに上げてきたニュース雑誌やビジネス雑誌などは結局紙媒体が売れなくなって、軒並み経営不振に陥っている。それに対して、後述するように、コンデナストは実に賢明にデジタルへの道を探ってきたといえるのだ。
そのアプローチは、分かりやすく言えば、「ケチ」と「再編集」である。