「じっくりコトコト」の商品ファンが集う
コミュニティサイトが創出する“気づき”とは?

当初から商品愛にあふれるユーザーが流入した

――そして2017年1月のオープンを迎えました。実際にサイトをオープンして、どのような感想を持ちましたか。

クオン
コミュニティエクスペリエンスデザイン部 三課 課長 
高橋元気さんクオン 高橋元気さん

小川 お客さまの生の声が非常に多く集まっていることを目の当たりにしました。オープン前は当社の方で何か仕掛けを用意しないとアクションにつながらないのではないかと思っていましたが、すぐに写真の投稿があったり、こういう食べ方をしているといった投稿があったり、いろいろな情報がストレートに集まってくることに驚きました。

――ファンコミュニティサイトのオープン告知はどのように行ったのでしょうか。また、オープン後の登録人数の推移などはどうでしたか。

松本 オープン時にはウェブ広告を打ち、ポッカサッポロさんのメールマガジン読者にも告知しました。また「じっくりコトコト」箱入りスープが360箱(1年分)当たるキャンペーンを実施しました。メルマガ経由では約3000人の方にコミュニティに登録していただきました。

高橋 当初は1年で1万人登録を目標にしていたのですが、初期の段階で8000人強に達したので大変驚きました。その後、9カ月で1万4000名、15カ月で2万4000名まで増えています。投稿数も15カ月時点で約7万7000件を超えており、かなり活性しているコミュニティですね。

異なるカテゴリーのファンが集い「クロスセル」効果も

――4つの異なるカテゴリーのお客さまが1箇所に集ったことで、違うカテゴリーの商品も購入する「クロスセル」の効果が出ていると聞きました。

小川 オープンから1年経過した時点で、クオンさんからコミュニティの分析結果をいただきました。コミュニティサイトを通じて「じっくりコトコト」の他のカテゴリーの商品を知り、購入意欲を高めていることが見えてきました。それはとても重要で意味のある結果が得られたと思っています。

「じっくりコトコト」シリーズはパウチ(左上)、箱(右上)、缶(左下)、カップ(右下)の4タイプを展開。各商品には想定ターゲットがいたが、コミュニティサイトのユーザーの声から意外な飲み方をされていることが判明したケースも。「じっくりコトコト」シリーズはパウチ(左上)、箱(右上)、缶(左下)、カップ(右下)の4タイプを展開。各商品には想定ターゲットがいたが、コミュニティサイトのユーザーの声から意外な飲み方をされていることが判明したケースも。

松本 分析結果にはクロスセルの効果が現れていました。数値で見ると、コミュニティオープンから4カ月経った時点では月当たり1.9カテゴリーの「じっくりコトコト」を飲まれていたユーザーが、その5カ月後には2.1カテゴリーをお飲みいただいていることがわかりました。0.2は大差ないように思われるかもしれませんが、統計的には有意な差といえます。また、箱タイプを起点にすると他へのクロスセルが起こりやすいということ、カテゴリーごとに効く施策・アプローチが異なることがわかってきました。分析結果をもとにして2年目はクロスセルに効果的な企画を実現していきたいですね。

――商品カテゴリーごとに顧客が違うんですね。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ 
食品ブランド戦略部スープ・食品グループグループリーダー
大楠栄治さんポッカサッポロフード&ビバレッジ 大楠栄治さん

髙井 3食入りの箱入りスープはスーパーに並んでいることもあり、30代40代を中心とした主婦層にホームユースとして使っていただいています。カップ入りスープ市場は働く女性のランチ需要により育ってきたカテゴリーなので、そこがボリュームゾーンですが、男女年齢を問わず幅広く飲まれています。缶入りスープは自動販売機やコンビニを中心に販売しているため働く男性や自動販売機ユーザーが中心で、年齢層はばらばらです。レトルトスープは箱タイプよりも価格帯が少し高いので、ちょっとぜいたくを楽しむという使われ方をしています。性別や年齢層、食べるシーンも朝だったりランチだったりいろいろです。

大楠 基本的には商品カテゴリーによって市場が違うため、クロスセルは難しいことと思っていたのですが、コミュニティではクロスセルの動きが見え、重要な示唆が得られました。

松本 毎月の定例会ではコミュニティの施策や活動の状況を報告していますが、1年間運営してきて消費者・生活者の実態も見えてきました。例えばカップタイプは、さっと食べられて食器を洗う手間が省けることから、赤ちゃんを育てているママさんが育児の合間に利用していることなどがわかりました。

髙井 自宅で食べる時、カップタイプはカップが無駄になるから箱タイプを選ぶとわれわれは想定していたのですが、子育てママのように「時短」のためにカップタイプを食べるというのは新たな発見でした。

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