「じっくりコトコト」の商品ファンが集う
コミュニティサイトが創出する“気づき”とは?

ポッカサッポロフード&ビバレッジが展開しているスープブランド「じっくりコトコト」は1996年に発売以来、20年超にわたって多くのファンを獲得してきた。同社は今後の20年を見据えてさらなるブランド力の強化と新たなファン獲得の手段として「コミュニティサイト」の運営を選択。2017年1月にスタートしたコミュニティサイトでのユーザーの活動を分析することで見えてきた「クロスセル」の可能性や、サイトメンバーが自分の知り合いにスープをプレゼントする「アンバサダー企画」などについて、新たな気づきが創出されている。ポッカサッポロのキーパーソン3人と運営支援を行うクオンの担当者2人に運営の実態と裏側について聞いた。

「じっくりコトコト」は1996年に発売を開始。通常の箱タイプに加えて、特にカップタイプは女性のファンを多く獲得している。「じっくりコトコト」は1996年に発売を開始。通常の箱タイプに加えて、特にカップタイプは女性のファンを多く獲得している。
大楠栄治(おおくす・えいじ)さん ポッカサッポロフード&ビバレッジ  食品ブランド戦略部スープ・食品グループグループリーダー
小川東吾(おがわ・とうご)さん ポッカサッポロフード&ビバレッジ  食品ブランド戦略部スープ・食品グループ課長代理
高井朋子(たかい・ともこ)さん ポッカサッポロフード&ビバレッジ  食品ブランド戦略部スープ・食品グループ係長
松本彰(まつもと・あきら)さん クオン コミュニティコンサルティング部 コンサルティング課 課長
高橋元気(たかはし・げんき)さん クオン コミュニティエクスペリエンスデザイン部 三課 課長

キックオフから3カ月でサイトオープンへ

――ポッカサッポロフード&ビバレッジ(以下ポッカサッポロ)の「じっくりコトコト」の公式コミュニティサイト「じっくりコトコト ファンコミュニティ」は、2017年1月5日にオープンしました。コミュニティサイトの立ち上げに至る経緯を教えてください。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ 
食品ブランド戦略部スープ・食品グループ課長代理
小川東吾さんポッカサッポロフード&ビバレッジ 小川東吾さん

小川 「じっくりコトコト」は、1996年から展開しているスープブランドです。「箱入りスープ」からスタートして、「カップ入りスープ」「缶入りスープ」と続き、20周年にあたる2016年に「レトルトパウチタイプ」を発売、商品カテゴリーが広がっている状況でした。一方で20周年を機に「じっくりコトコト」ブランドを強化し、ブランド価値を高める施策を打つ必要があることも感じていました。そんな時にコミュニティサイトの存在を知り、「じっくりコトコト」のお客さまを集めたコミュニティサイトを立ち上げることを決めたのです。

――当初、コミュニティサイトについてどのように感じましたか。

小川 同じブランドの商品ですが、箱、缶、カップ、レトルトはそれぞれ違うカテゴリーの商品で、ユーザー層も違うという認識だったので、一つのサイトにまとめてうまくいくのかなという不安はありました。さらにコミュニティを通じてブランドを強化する、ライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)を高めるという課題に対して、私たちは何をすればいいのかということもわかりませんでした。コミュニティを通じてお客さまの生の声を聞けるという期待があった反面、違うカテゴリーのお客さま同士で話が合うのか、無理が生じるのではないかという不安もありました。そこで、消費者コミュニティの構築や運営に詳しいクオンさんに相談しました。

――コミュニティサイトの立ち上げは社内初の施策と聞いていますが、キックオフのミーティングからオープンまでは順調でしたか。

クオン 
コミュニティコンサルティング部 コンサルティング課 課長 
松本彰さんクオン 松本彰さん

松本 キックオフからオープンまで3カ月と見積もっていたのですが、実質的には2カ月で準備を終えました。2016年秋にキックオフを行って11月にはすべての内容を確定させ、2017年1月にオープンという進行でした。

高橋 短期間でオープンできた一番大きな理由は、キックオフの際にポッカサッポロさんからしっかりとブランドのオリエンテーションをしていただいたことです。私たちがチームの一員に加わって消費者コミュニティを構築する上で、ブランドの理解を深めるオリエンはとても重要です。ポッカサッポロさんが目指すサイトの全体像から具体的な取り組み、1年間のプロモーション計画までかなり丁寧に説明していただきました。

小川 当社にとって「じっくりコトコト」は非常に重要なブランドのひとつです。そのブランドが発売から20年という節目を迎えるにあたって、単発の施策ではなく、次の20年につながるような取り組みをと考えていました。コミュニティサイトがそのためのひとつの手段になったらという想いはありましたね。

松本 ポッカサッポロさんからは消費者コミュニティに対する期待の高さが伝わってきました。その分、プレッシャーも高まったのですが(笑)。打ち合わせの際にも、ターゲットごとにサイトを分けなくてよいのかという話が出たのですが、今回のプロジェクトは商品ファンをブランドファンに育てていくことを目的としていたので、あえてユーザーの皆さまには1箇所に集まっていただくという提案をしました。

小川 これまでは商品タイプごとに市場が違い、競合する相手も違い、お客さまも違うため、個別の施策を打ってきました。いわば縦割りのところへ、ファンコミュニティという横串を通すことが必要だということをクオンさんに説明していただきました。

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