農泊の人気宿になるには
宿主の人柄がカギ

「2015年3月の北陸新幹線の開通がやはり大きく、東京から乗り換えなしで飯山駅まで来られるようになったことで、ジャパン・レール・パス(外国人旅行者向けの乗り放題切符)でやって来る訪日観光客が目立って増えました。日本の田舎の原風景を求める人が、東京から一本で行ける手軽さから来てくださるようです。金沢や京都が次の目的地、その途中に飯山に立ち寄るという流れがあるようですね」(信州いいやま観光局 営業企画課 柴田さほり氏)

 訪日観光客への対応については、JR飯山駅の観光案内所がJNTO(日本政府観光局)のカテゴリー2(少なくとも英語で対応可能なスタッフが常駐。広域の案内を提供)の認定を得るなどの体制整備を進めている。

 一方、百戦錬磨は、楽天トラベル出身の上山康博氏を社長に2012年に設立された企業で、民泊予約サイト「STAY JAPAN」の運営を事業の大きな柱としている。前述のようなヤミ民泊の横行が公正な事業者の参入を妨げる状況にあっても、ルールを守った健全な市場育成を訴え続け、18年6月の住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」の公布を転換点にしようと意気込んでいる。


 百戦錬磨は子会社を通じて「とまりーな」という農家民宿中心の民泊サイトを2013年8月から運営しており、農泊全般との関わりも長きにわたる。13年時点では特区民泊のルールがなくて、大都市で民泊を合法的に行うことが非常に難しく、農泊の方が事業を展開しやすかったという事情もあったからだ。

 同社はプラットフォーム事業者としての経験を生かし、高い観光ポテンシャルがありながらも宿泊インフラの整備が不十分な地域を対象に、魅力的な観光サービスを創出することで地域を活性化させることも手掛けており、徳島県美馬市、沖縄県浦添市、茨城県桜川市などで行政と手を組んで観光客の呼び込みに努めている。

百戦錬磨の上山社長。徳島県美馬市、沖縄県浦添市、茨城県桜川市などで行政と手を組んで観光客の呼び込みに努めている

「茨城県桜川市は、あまり知られていませんが、奈良県の吉野山のような山桜の名所で、伝統的な古民家が100軒ほどもあるのですが、そのうち約2割が空き家になってしまっています。非常にもったいない状況で、一軒一軒の単位で旅行者のニーズすべてに対応するのは難しいですが、地域全体をひとつのホテルと見なすことで助け合ってやっていくことはでき、そこに地域活性化の可能性があります」(株式会社百戦錬磨 代表取締役社長 上山康博氏)

 同社が「STAY JAPAN」で扱っている農泊の物件でも、人気の要因としては宿主の人柄が大きいという。

「沖縄県の『とぅるば家』と和歌山県の『未来農園』が人気の高い宿の代表例ですね。どちらも現地に滞在してさまざまな体験ができるメニューを提供していて、お客さんの喜ぶ顔が見たいという宿主の人柄がリピーター獲得につながっています」(上山氏)