柳沼さんが唱える「誰からも好かれるフォーム」は、「表情」「声のトーン」「身振り・手振り」の3つカテゴリーからなる。今回限られた時間の中で、特に基本となる「思いきりの笑顔」の作り方、相手の感情を動かす「応援」の仕方、悪い例を含めた「返事の仕方」を教えてくれた。

 まずは、相手の印象を大きく左右する「思いきりの笑顔」から。これは、大げさなくらいの満面な笑顔のこと。ポイントは「口の形」「頬」「目」だ。

 口は「い」を発音するときの形を意識して、横幅を上の歯を奥歯まで全部見せるように両側に目いっぱい開く。見せるのはあくまで上の歯だけ。頬はアンパンマンのように「頬の筋肉が丸くなるように」持ち上げる。目は、三日月が寝ているような形に細める。柳沼さんはこれで「誰でも今日から相手の反応を変えることができます」ときっぱり言い切る。

 まずは椅子に座った受講者2人が向き合い、それぞれ両手を握って膝の上で待機する。

「私が『さん、ハイッ』と言ったら顔の横にグーを持ってくる。いいですね? それから『ニッ』の合図で手をパーに開いて思いきり笑顔。ニーッとやります。では、さん、ハイッ、ニーッ。そうそう。やり過ぎくらいやってくださいね」

 いっせいに「ニーッ」と始まるが、すぐに柳沼さんの激が飛ぶ。

「恥ずかしいと思ってやると、相手に『気持ち悪い』って思われます。思いきりやって下さい」

 どちらが早く相手にニッと笑顔を向けられるか、その「スピードも大切」と柳沼さん。

研修前の表情と研修後半の表情。自分ではやり過ぎだと思う「思いきりの笑顔」が周りには自然に見える

「人間は人に会った瞬間、0.1秒くらいで脳の扁桃体が『なんかいい』『なんかいやだ』という判断をします。自分から相手に思いきりの笑顔を見せることによって、相手の脳に一瞬で『あ、なんかいい人かも』とスイッチが入ります。だから、この0.1秒を逃してはいけません」

 なるほど、それで0.1秒か。思いきり笑顔は先手必勝。躊躇してはいけないのだ。

「相手の顔色は一切読んではいけません。自分主導で相手の脳にある好かれるスイッチを一気に入れにいくので、『機嫌が悪そうだな』『怖そうだな』など相手の気分で自分を変えてはいけない。なぜならそれが出会いの瞬間だから。脳は一瞬で判断します」

 人は感情が行動に繋がる。会った瞬間にこの人感じがいいなと思えば話を聞くし、財布も開きやすい。嫌いな人とは2度と会いたくない。だから、「この方法で人の感情をうまく引き出せれば、営業担当なら成績アップに繋がる」というわけだ。