◇みんなでよい「空気」をつくる

「生きている会社」と「死んでいる会社」とでは、空気のフレッシュさが異なっている。空気は環境であるのだから、「生きている空気」の中で仕事をすれば生産性や創造性が高まる。その一方で、「死んでいる空気」の中に身を置けば、人は鬱屈してしまう。

 この「空気」は、社員全員が日常の中で意識的につくりだすものだ。たとえば、「無印良品」を展開する株式会社良品計画では、「風土改革」と称して、毎日全員で5分間掃除する、定時退社・休暇取得を推進するなど、職場環境づくりに取り組んでいる。「生きている会社」の現場に共通するのは、「活気がある」「会話がある」「笑顔がある」の3つだ。会社が「生命体」として輝き、創造性を発揮するためには、良質な職場環境が重要なのだ。

一読のすすめ

 著者によると、本書に書かれていることの本質は古今の経営書、ビジネス書で語り尽くされていることばかりであって、著者はそうした知見を「再編集」したにすぎないという。しかし、その編集力と、編集のベースになっている著者の体験、一言でいえばコンセプト・メイキングにこそ本書の価値があるといえる。

 著者の主張はただひとつ。会社にとって本当に大事なのは、 生命体としての輝き、つまりいまこの瞬間、その会社が「生きている」か「死んでいるか」である。会社の規模や歴史、収益性、名声などではないのだ。読み進めるうちに読者は、著者が「あなたの組織は生きているか、死んでいるか」という厳しい質問を問いかけて いることに気づくであろう。さて、あなたなら何と答えるであろうか。本書を通じて 、その答えと、あなたの組織を「生きている」組織にするための方法を考えていただければ幸い だ。

 また、要約では紹介しきれなかったが、本書の最後の章には「経営者の仕事とは何か」として、経営者のあるべき姿がまとめられている。「生きている会社」をつくりたい経営者の方には、ぜひ手に取っていただきたい。

評点(5点満点)

総合4.2点(革新性4.0点、明瞭性4.0点、応用性4.5点)

生きている会社、死んでいる会社の評価は?

著者情報

遠藤功(えんどう・いさお)

 ローランド・ベルガー日本法人会長。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機株式会社、米系戦略コンサルティング会社を経て、現職。経営コンサルタントとして、戦略策定のみならず実行支援を伴った「結果の出る」コンサルティングとして高い評価を得ている。ローランド・ベルガーワールドワイドのスーパーバイザリーボード(経営監査委員会)アジア初のメンバーに選出された。株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。日新製鋼株式会社社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。コープさっぽろ有識者理事。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』(以上、東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)など、ベストセラー著書多数。

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