旧姓で口座を使い続けるのは困難
旧姓での口座を使い続けることは可能か…(写真はイメージです)

世界で唯一、夫婦別姓を認めていない国、日本。実はあまり知られていないが、昨年、金融庁は全国の主要行などに対して旧姓での口座使用を可能にするように協力要請を出している。実際に今、銀行で旧姓を使い続けることは可能なのか。結婚を機に妻側の姓を名乗ることになったフリーライターが試してみた。(取材・文/フリーライター 高田純一)

夫婦別姓法案通過
待ち続けて十数年

 とうとうバレたか。これが最初の感想だった。

 フリーライターとして独立してからずっと使っていたメインバンクの新生銀行から「住所変更手続きのお願い」というメールが届いた。3年前に長年住んだマンションを立ち退いた際、銀行に届けてある住所を変更せず、毎年郵便局に転居届けを出し続けることで銀行からの各種書類を転送してもらっていたのだが、それが何かの手違いで返送されてしまったのだ。

 ぐぬぬ、郵便局員め……。と恨み節を吐く前に、そもそもなぜ私が住所変更しなかったのかを説明しないといけないだろう。

 それは旧姓の銀行口座と身分証明書を維持し続けるためだ。

 数年前、長く同棲していた彼女と結婚し、私が妻方の姓を名乗ることになった。つまり婿入りしたのだが、基本的に結婚した事実を近親者以外には伝えたくなかったこと、結婚後も取引先とは旧姓でやりとりしたかったこと(この記事も、企画を打診した際に担当編集者は結婚したことを知らなかった)などから、いまやペンネームと化した旧姓の銀行口座と身分証明書を維持しておきたかったのだ。