お坊さん便を利用するのは、引っ越しを機にお寺と付き合いが無くなった檀家から、もともとお寺との付き合いがない人までさまざまだ。

「相手は、ネットで頼んでどんなお坊さんが来るのかという気持ちがあると思うんですよね。だから逆に、低く見られちゃいけないなとすごく気合いも入ります」

 お布施は当日に受け取ることもあれば、Amazon経由などの場合は事前のクレジット決済となる。お寺の知識がない人も利用するため、お布施のやりとりをめぐって、驚かされることもある。

「『料金を先に払っていいですか?」といきなりお財布からお金を出そうとしたり、領収書を頼まれたりしたこともあります。依頼の時に『領収書は出せますか?』と言われたので、ダイソーに行って買ってきました(笑)。領収書がないと、自分の兄弟に対してちゃんとお布施を払った証明にならないじゃないかと言われて...」

「ただ、ちょっとどうかなという行動をとられたり、お寺のことを知らなかったりする方が、一生懸命拝んでお経を聞いた後は、目に見えて変わります。やっぱり衣を着た人間がしっかりと先祖やご家族の供養をするのはものすごく大事なことで、その人に影響を与える。そこが私の中で一番面白いところです」

男性の実家のお寺男性の実家のお寺 Photo by Rio Hamada/Huffpost Japan

 寺の役割は「ご先祖様を大切に」と伝えること

 文化庁の宗教年鑑2017年度版によると、全国に仏教系寺院は約7万7206カ所あり、僧侶の数は約34万5934人に上る。

 地域差はあるが、寺院が専業で生計を成り立たせたり、寺院を維持したりするには、200?300件以上の檀家が必要だと言われている。だがその条件を満たすのは一部で、男性の実家のように規模の小さなお寺では、住職や僧侶が兼業せざるを得ない状況という。