

次に、交渉準備に取りかかる際の進め方を考えてみましょう。たとえば、前述した【ステップ1】にて、新制度に対応するため社内システムを改訂する必要があると気づいたのであれば、同僚らにも意見を求めながら、最適なシステムを選定したり、導入する前に準備しなければならないデータを移行したりする必要があります。その際、必要だと思われる作業や発生し得るコストを列挙し、わかりやすくプレゼン資料としてまとめる必要があります。
視覚でわかる資料の提示は、話しベタの人にもお勧めのやり方です。ただ、注意すべきは完璧を目指さないことです。と言うのは、交渉相手は社内の上司であり、外部のライバルではないからです。つまり目的は、相手を打ち負かすことではなく、良好に交渉を進めてゴーサインをもらうことです。
よって、交渉内容について相手に共感してもらうことが大前提。コツは“80%を見せる”方法なのです。たとえば、新たに提案する業務フローも完璧に見せるのではなく、「他部署との連携方法に迷っているので、○○課長に指示を仰ぎたい」と伝えながら、2割ほど未完成な部分を残したまま上司に相談する。そうしたスタイルで話を持ちかければ、相手が相談に乗ってくれることで共に名案を考えたりする土壌が生まれたりして、単なる交渉ごとが部署全体の目標に変わる可能性が高まるのです。ぜひ試してはいかがでしょう。
ラストステップでは、交渉ごとの山場にあたる“セリフ”を考えましょう。現場視点で一生懸命に訴えかけたとしても、物わかりが悪い上司の場合は伝わらないケースもあります。そのような場合のリスク回避のために、上司の立場を十分考慮し、相手にとって好都合な話し方で臨むことは、交渉の基本スタイルです。