実は経理部員にこそ必要なプレゼン能力外の人と接する機会が少ない経理担当者には、プレゼン能力は必要ないと思われがち。それは本当だろうか(写真はイメージです)

実は経理部員にこそ
必要なプレゼン能力

 見込み客や取引業者などと商談する営業や総務といった職種に比べ、外の人と接する機会が少ない経理担当者は、プレゼン能力を問われる場があまりないと思われがちです。しかし実際は、融資を申し込む際に自社の財務状況や業績を金融機関の担当者に対して的確に説明し、有利な条件で資金の調達を受けなければならなかったり、関連部署の人たちに対して改善策を提案したりと、様々なシーンでプレゼン能力を発揮する必要があるものです。

 しかしながら、経理担当者は社内研修などを通して、積極的にプレゼン能力を磨く機会が僅少な上、上司が適宜指導する機会もないため、あまり重要視されていないケースがほとんどです。

 今回は、経理にとってもっと優先順位が高くても良いはずのプレゼン能力を踏み込んで考えていきます。

 本連載でも筆者が何度か触れたとおり、経理は仕訳伝票や出張精算書などなど、経営活動に関する様々なデータに数多く触れる機会があります。その中で経理担当者の気づきや改善案を関連部署に対してプレゼンし、相手方が効果的な活動を実践すれば、経営改善が充分に期待できるはずです。前回は、こうした経理の重要な役割を踏まえて資料作成をテーマに記述しましたが、いくら効果的な資料を長時間かけて作成したとしても、それらを相手方に的確に伝え、改善が図られなければ、全く意味がありません。

 もしも、あなたが経理としてプレゼンをする立場で、何度か経験を重ねても、関連部署の行動に進展がなく、思い描いていた経営改善が見受けられなければ、これまでどのようなスタンスで仕事にあたってきたか、省みることが肝要です。

 もちろん、あなたばかりの責任ではなく、組織内部の中に綻びがあるなど、要因は様々考えられるでしょうが、メスを入れる箇所があるはずです。以下に、筆者が取材などを通して集めたありがちなケースと処方箋を示します。思い当たるところがあれば、取り入れてはいかがでしょう。