圧倒的に差がある
韓国と北朝鮮の国力

 韓国の国民総所得は、すでにロシアをしのぎ世界11位で、北朝鮮の約45倍、人口は2倍だ。南北の国力の差は米国とメキシコの差(米はGDPで約18倍、人口は2.5倍)より大きい。

 韓国の昨年の国防費392億ドルはドイツの443億ドル、日本の454億ドルに迫り、装備の近代化は着実に進んでいる。

 これに対し北朝鮮は、陸軍の兵員数が110万人と言われ、韓国の倍だが、そのために徴兵年限は8年ないし10年と長い。除隊時には30歳に近いから若い予備役兵は少ない。

 韓国の徴兵期間は約2年だから毎年10万人近い訓練済みの若い予備兵力が生まれ、その後8年間は予備役になるから、有事に予備役を動員すれば、北朝鮮との人員の差はなくなる。

 韓国軍の通常戦力は北朝鮮軍に対し圧倒的に優位だから、在韓米陸軍は1990年に3万2000人だったのが、現在では1万9000人に削減され、空軍も1万2000人から8000人に減った。

 在韓米陸軍の主力、第2歩兵師団はかつての2個旅団が1個旅団になり、最前線の駐屯地を去りソウル南方約70キロの平沢(ピョンテク)に移転した。ここは烏山(オサン)空軍基地に近く、港もあって中東など海外への出勤に便利だからだ。

 しかもその1個旅団も常駐ではなく、本土の部隊が9ヵ月交代で派遣されている。

 もし北朝鮮軍が南北境界線のすぐ北にある地下要塞地帯から出て南進を始めれば、圧倒的に優勢な韓国空軍によってたたかれ、補給を切断されて壊滅する結果になりそうだ。

 北朝鮮軍が地下壕に隠れている直径24センチ、22連装の自走式ロケット砲(射程60キロ、推定350両)などを、韓国の人口の約半数である約2500万人が住むソウル首都圏に一斉に発射すれば、数万人の死傷者が出かねない。

 だが、北朝鮮が韓国全域を制圧する可能性はごく低いだろう。

(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)

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