北朝鮮「完全」非核化を求める強硬論が危険な理由朝鮮労働新聞HPより

 6月上旬に行われる予定の初の米朝首脳会談は、米国政権内で非核化の手段、期限などについて強硬論が出て、開催地を板門店とすることにも異論がある様子だ。金正恩委員長は5月7日から中国大連で習近平主席と会談、にわかに高まった米国の強硬論への対応を協議した模様だ。状況は流動的だが、昨年の軍事的緊張を思えば、情勢の急転は目覚ましい。

 とはいえ焦点の北朝鮮との非核化交渉では、「完全で検証可能、不可逆性」を達成するのは困難で、難航が予想される。

戦争回避に動いた南北の指導者の
外交手腕は評価されるべき

 北朝鮮は昨年には11月末までに14回もの弾道ミサイルを試射、9月には水爆実験を行った。これに対し米国は11月には空母3隻、巡洋艦・駆逐艦11隻を日本海に展開し海上自衛隊、韓国海軍と共同演習を行い、グアムから出動したB-1B爆撃機を航空自衛隊、韓国空軍の戦闘機が護衛するなど、威嚇競争は頂点に達した。

 当時、米国では「北朝鮮は数ヵ月以内に米国本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)を完成するだろう。それより前に先制攻撃をすべきだ」との予防戦争論が高まり、「3月開戦説」も出ていた。