台湾の蔡英文総統「台湾有事」の鍵を握るのが米議会での提出されている「2022年台湾政策法案」の行方だ Photo:EPA=JIJI

ペロシ議長訪台に猛反発の中国が
本当に脅威に感じているもの

 ナンシー・ペロシ米下院議長(民主党)は米国政府の諫言を無視して8月2日に台湾を訪問。3日に蔡英文台湾総統と会談した後、5日には訪日し岸田文雄首相と朝食を共にした。

 対中強硬派であるペロシ議長は台北での記者会見で、台湾への友情と団結を強調したが、台湾の独立を支持する発言はなく、米国の「一つの中国」政策を評価する発言もあった。

 だが中国は議長の訪中に合わせて台湾周囲6海域でかつてない大規模の軍事演習を行い、短距離弾道ミサイルを計11発発射し、うち5発は沖縄・波照間島南西の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。

 EEZは、領海ではないから演習を行うのは自由であり中国は事前に日本にも通告をしていた。とはいえ非友好的な行為であることは間違いなく、米国に従う日本に対しても威圧をしたとも取れる。

 米国下院議長は過去25年に台湾を訪れた最高位の米国公人だから中国は猛反発したといわれるが、中国が本当に脅威に感じていたのは、6月17日に米議会に提出された「2022年台湾政策法案」だと考えられる。