ただしこうした魅力は、他のさまざまな都市との比較で、相対的に評価されるものだ。「産業・雇用」「インフラ」「ライフスタイル」という3つの魅力をバランスよく高めるだけでなく、他の都市と比較してもなお魅力的な都市をどうつくっていくかが、いま問われているのである。

◇学校と人口密度

 福岡市には教育機関が多く、九州全域から多くの若者がやってくる。留学生数も東京と大阪に次いで全国3位で、アジアの玄関としても機能している。学校に恵まれているまちとそうでないまちを比較すると、前者を選ぶ人のほうが多い。とくにファミリー層ではその傾向が顕著だ。

 また交通の利便性がよいのも特徴のひとつである。空港から市街地までは地下鉄で5分程度だし、市内のいたるところにバス停がある。ラッシュ時の乗車率も東京に比べ低く、ストレスを感じにくい。しかも家賃が他の都市に比べて安く、中心地に住まいを構えるハードルも低い。先進国で近年人気が高まっている「ウォーカブルシティ(歩けるまち)」のひとつだといえる。

◇産業の豊かさと投資

 福岡市は産業も豊かだ。新規事業から上場企業、クリエイティヴ産業の新興企業、さらには屋台まで、幅広い仕事の選択肢がある。

 ちなみに政令指定都市のなかで福岡市の開業率は全国トップ、25歳から34歳の創業者が全体に占める割合も全国トップである。福岡市は若い人の挑戦に寛容な都市だといえるだろう。その一方でピエトロ、ロイヤルホストホールディングスなど上場企業も多いため、大学卒業後にそのまま就職しやすい。さらに屋台数日本一(全国の屋台の約4割を福岡市が占める!)という数字が示すように、ローカルな事業にも広く門戸を開き、地元資本で儲けを出しているまちでもある。

 このような産業集積と人口増加によって、不動産投資も拡大し続けている。とくに建設投資の伸び率は、この5年間で全国第1位だ。市が主導する規制緩和によって、この勢いはさらに続くと予想されている。

◇福岡市の個性の秘密
◇民間主導・民間投資

 全国の都市開発は、これまで主に行政が主導になって進めてきた。しかしそれは高度経済成長期における需要の多さを前提とした施策であり、現状にはそぐわないことも多い。また行政主導で都市開発を続けて斜陽を迎えた際、地元住民の努力では持ち直しが難しく、衰退の道を辿ることも少なくない。