人口減少時代に突入し、多くの地方自治体が人口減・過疎化に喘ぐ中、人口増加中の街がある。それが福岡市だ。平成27年度の国勢調査によると、政令指定都市の中では、人口増加数・増加率ともにNO.1(2010年10月~15年10月)。増加数は7万4767人と、2位川崎市の4万9788人を大きく引き離す。
一方、工業の街として知られる北九州市は、工場従事者の減少が大きな要因となり、人口減少数が全国で最も多い市町村になった。福岡市と明暗くっきりのように見えるが、悲観する状況ではない。なぜなら、「50歳から住みたい地方ランキング」(『田舎暮らしの本』宝島社刊)で1位に選ばれ、シニア移住者の注目を集めているからだ。
全国津々浦々で行われている人口増加策の多くが結果を出せずにいるなか、なぜ福岡では人口が増え、住みたい地方に選ばれることができたのか。その秘密をリサーチした。
若者率もNO.1、年間50社が移転!
モテたい男は福岡に住むべき理由
福岡は東京から飛行機でわずか1時間45分。なんといっても魅力的なのは、福岡空港から中心地・博多駅まで電車で6分という利便性の高さだろう。最近では、博多港がクルーズ船の寄港回数で横浜港を抜いて日本一(2015年)になり、地の利を生かしてアジア諸国からの観光客も増えている。
そんな福岡は、福岡市など県の中心地がある「福岡地域」、小倉などの工業地帯で知られる「北九州(豊前)地域」、かつて日本最大規模の炭田で栄えた「筑豊地域」、熊本・佐賀に接する農業が盛んな「筑後地域」の4つのエリアで成る。
そのなかで人口が増加しているのが、商業の街・福岡市だ。人口を押し上げているのはなんと若者で、若者率(15歳~29歳)は19.5%と政令市トップ。2035年まで人口増加すると市が予測するほど、人口減少時代の逆を行っている。
一体なぜ若者が集まるのか。理由の1つが大学だろう。福岡市は大学・専門学校数が107校あり、人口に占める学生の割合は7.3%と京都市に次ぐ2位(2014年度学校基本調査、2013年大都市比較統計年表、各都市推計人口)。「東京はダメだけど、福岡ならいい」という他の九州県の親御さんは少なくないようで、特に女子学生の流入が凄い。20~24歳の転入超過数は、女性が男性の2倍超という“女子余り”状態なのだ(2011年~15年住民基本台帳移動報告より)。全国のモテたい男子高校生は、福岡の大学が狙い目だろう。