「みんなで育てるデニム」って一体、なんだ?そのデニムは広島県尾道市で作られている。さまざまな職業の人たち、例えば漁師だったり、レストランのシェフや大工だったりと、そうした人たちが1年間、新品のデニムを仕事で履き込んで、機械で加工したユースド感ではなく“本物”のユースドとして売っているのだ。それにしてもなぜ、そんなデニムを売ることになったのだろうか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
デニムにタグには
漁師、農家、大工など約70の職業名
尾道市といえば、瀬戸内海に面した風光明媚な静かな町である。瀬戸内しまなみ海道の本州側の玄関口で、瀬戸内海の島々を行き交う連絡も往来する。尾道の商店街の一角に「尾道デニムプロジェクト」のデニムショップがある。店内にはユースドのデニムが何本も並んでいる。
デニムに付いているタグを見ると漁師とか柑橘農家、溶接工、大工といったようにいろんな職業名が記載されている。
「約70の職種の人たちに履いてもらったユースドのデニムです」と話すのは、尾道デニムプロジェクトセクションマネージャーの和田幹洋氏である。
尾道市のさまざまな職業の人に1年間履いてもらって、“本物”のユースドデニムとして販売しているのだ。
1人2本の新品のデニムを無償で1年間提供。1本目のデニムを仕事の際に履いてもらい1週間で回収、洗濯したもう1本のデニムをまた1週間履いてもらう。それを1年間、毎週毎週繰り返すと、立派なユースドのデニムが出来上がる。
履いてもらったデニムは洗濯、さらにリペアして、尾道デニムプロジェクトのデニムショップで販売している。