需給ギャップがプラスになったのに賃金が低迷するのは、構造的な要因があるからだ。日本では、賃金が高い部門の就業者が減り、賃金が低い部門の就業者が増えている。このため、賃金引き下げの圧力が働く。
必要なのは、生産性の高い分野の就業者を増やすことだ。例えば、ネットショッピングの拡大によって、賃金を数%ポイント引き上げることは、不可能ではない。
しかし、これは、金融政策の守備範囲ではない。意味のない緩和政策からは1日も早く脱却する必要がある。
需給ギャップはプラスになったが、
賃金が低迷するのはなぜか
経済全体の需要と供給の状態を示す「需給ギャップ」が、プラスになった。
内閣府の試算によると、2017年の需給ギャップは0.4%となった。プラスになったのは、リーマンショックがあった08年以来、9年ぶりのことだ。