足元で減速する中国経済に対し、
政府が景気対策を決定、景気下振れは回避へ

 それでは、足元で減速している中国経済は、米中貿易摩擦が激化しても、安定成長を続けられるのでしょうか。

 中国政府が過剰債務の削減(デレバレッジ)による構造改革を進めるなかで、GDPの他にも、主要な経済指標の減速傾向が確認されています。1~6月の固定資産投資は前年同期比+6.0%と、1~3月(同+7.5%)から伸び率が鈍化しました。地方政府の債務抑制によりインフラ投資が同+7.3%と、1~3月(同+13.0%)から大きく減速していることが背景にあります。また、6月の小売売上高は前年同月比+9.0%と、今年に入り10%を割り込み、トレンドとしては伸び率の鈍化傾向が続いています。

 こうした景気減速に対し、中国の李克強首相は7月23日、国務院常務会議(閣議に相当)を開催し、景気の悪化に備えて、主に財政政策を通じた景気対策を打ち出す方針を決定しました。地方政府が債券発行を通じてインフラ投資を行うことや、全人代で決定していた減税規模を拡大することなどを示し、構造改革よりも景気安定を優先する姿勢を明らかにしました。米中貿易摩擦激化による景気の下押し圧力を緩和する狙いがあるとみられます。中国政府の景気刺激策により、景気の大幅な下振れは回避されると考えられます。

 三井住友アセットマネジメント調査部の試算によれば、(1)米国が中国からの輸入品500億ドル分に25%の追加関税をかけた場合、(2)米国が(1)に加え、中国からの輸入品2000億ドル分に10%の追加関税をかけた場合、の中国の成長率の押し下げ効果はそれぞれ、(1)のケースで▲0.13%、(2)のケースで▲0.29%となりました。あくまでも前提条件を絞ったシミュレーションではありますが、貿易摩擦のインパクトは、過度に悲観するべきものではないと思われます。