日本では賛否両論あるものの、受動喫煙対策は進みつつあり、愛煙家の肩身は年々狭くなっているようだ。一方、中国では受動喫煙対策や禁煙問題はどうなっているのか。中国での最新のたばこ事情を解説しよう。(日中福祉プランニング代表 王 青)
昨年3月から上海では
室内の公共場所やレストランで全面禁煙
「喫煙は健康を害する」、「受動喫煙は喫煙者本人以上に健康に悪影響を及ぼす」などはもはや周知の事実で、世界的な常識である。東京都も受動喫煙防止条例が可決され、2020年東京オリンピックでは、「煙のない東京」を目指している。たばこを吸う人の肩身は狭くなる一方だ。
世界最大のたばこ生産・消費国である中国のたばこ事情はどうなっているのだろうか。
「屋内の喫煙は一切禁止」――。
昨年3月1日から上海では、室内の公共の場所、職場、公共交通機関、ホテル、レストラン(屋根があれば)などが全面禁煙となった。
その時、日本から上海を訪れた人々が、「早い!日本より進んでいる!」と驚いていたのが印象的だった。
中国の受動喫煙対策は本当に進んでいるのだろうか。
確かに、一部では日本より進んでいるかもしれないが、それは極めて限定的といえよう。そのことはデータを見れば、明らかだ。
中国は世界最大のたばこ生産と消費国である。たばこ産業は膨大であり、2000のたばこ製造企業に従業員50万人。たばこ産業になんらかの関わりを持ち、生計を立てている人は6000万人もいるといわれている。一方、喫煙者人口は3億2000万人に達し、世界の3分の1を占める。