文在寅大統領
写真:ユニフォトプレス

高所得者層には増税と規制強化
低所得者層には賃金引き上げと雇用増大

 韓国の文在寅大統領は、朴槿恵前大統領がスキャンダルに巻き込まれて失脚した後、市民の生活向上や所得分配の公平化を訴えて大統領に当選した。

 そんな文大統領は昨年、高額所得者と大企業を対象とした増税と、投機目的の不動産取引を阻止する規制強化策を相次いで発表した。こうした「金持ち」にターゲットを絞った政策には、2017年7月下旬時点の世論調査で85%の国民が「賛成」と答えている。他方、低所得者層向けの対策としては、最低賃金の引き上げと正規雇用の増大策を実施。これらによって、貧富の格差を解消する政策を推進してきた。

 こうした政策は、金東兗(キム・ドンヨン)副首相兼企画財政部長官が唱える、韓国独特の経済成長論をベースにしており、一般国民の所得を高めれば、消費が増大し、経済も活性化するという「所得主導成長政策」の考え方だ。過去の輸出主導型の経済成長では、貧富の格差が増大し、経済の2極化が拡大してしまうとの認識が背景にある。

 確かに、文政権成立後の韓国経済は比較的好調に推移してきた。しかし、今年1~3月期の実績では、高所得者層の所得だけが増え、低所得者層の所得はむしろ急減している。