今月、東京・新宿で“音のない世界”の体験型イベント「ダイアログ・イン・サイレンス 静けさの中の対話」(8月26日まで)が開催されている。大阪では「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が5年目を迎えている。このドイツ発の2つのエンターテイメントは「人を変えていく力がある」と評判だ。参加者にどんな変化が起きたか?その理由とは?(医療ジャーナリスト 福原麻希)
参加者はヘッドセットを装着
すべての音を遮断して声や音を出さない
新宿で開催中の「ダイアログ・イン・サイレンス」では、参加者はヘッドセットを装着して、すべての音を遮断する。会場内のルールは1つ、「声や音を出さないこと」。同じグループになったメンバーは、互いに、手・顔全体・身振り手振り・サイン等を使って、いろいろなテーマに沿ったダイアログ(対話)を楽しんでいく。
会場内の部屋から部屋へは、“音のない世界”をよく知る聴覚障害者がアテンドする。アテンドはパフォーマンス等の特別な訓練を積んでいるので、参加者を90分間、ダイアログ・イン・サイレンスの世界に引きこむ。今年は昨年に引き続き2回目の開催になる。
筆者も、今年の開催期間中に体験した。
声や音が聞こえなくなることで、周囲を注意深く見たり、肌で温度や音の刺激を感じたりしようとしている自分に気づいた。また、日頃、試したことがないノンバーバル・コミュニケーション(非言語)の表現方法の豊かさにワクワクし、とても新鮮な驚きを感じた。
ダイアログ・イン・サイレンスで自分自身にちょっとした変化を感じたため、その理由を知りたくなり、今回、主催者にインタビューした。ところが、インタビューで聞いた話は想像していた以上に深いものだった。