自動化機器
労働者確保の難しさと労働者確保の困難さから、一部のラインに自動化機器を入れつつある。熟練工を多く抱えることで小ロット多品種に取り組んでいる同社では珍しい試みだ

 深センは中国各地から出稼ぎの人が集まる街だ。ジェネシスがある宝安区は、深センの郊外として市内の工場の移転先となって、急速に開発が進んできた。ほんの3~4年前には工場ばかりだった宝安区にも、ついにショッピングセンターや高級マンションが建設されるようになった。出稼ぎ民にも、ウエートレスや出前運びといった工場以外の仕事の選択肢が現れ、工場労働者を志す人が減ってきたことで、このエリアでも工場に人が集まらなくなってきた。

 多品種少量生産をする場合、部品メーカーや検査会社といった協力企業との関係を密にする必要があり、工場は都市部にあるほうが望ましい。しかし、望むような労働者を確保するには、車で1~2時間ほど先の、寮住まいで働くのをいとわないような人々が暮らす郊外にまで足を伸ばさないと難しくなってきた。

東莞からアフリカへ
5万人規模の工業団地を

 こうした状況下、ドラスチックな対策をしている中国企業もある。

華堅集団がエチオピアで運営している工場。中国政府も協力している

 深セン市に隣接する東莞市で靴製造を行う大手製造業の華堅集団は、2011年からアフリカのエチオピアに進出し、現地で5000人を雇用する大工場を運営している。中国人300人、アフリカ人4700人からなる工場はすでに年間200万足の靴を生産し、多くはアメリカ向けの輸出を行っている。

 中国政府はエチオピアで多くの公共事業を行っており、同国での影響力を高めたいという思惑から、華堅集団の進出については中国政府の評価は高いが、同社が進出したのはあくまで彼らのビジネスのためで、政府の差し金ではない。今も本社は東莞市にあり、東莞の工場ではより高品質な靴が生産されている。

 東莞市には深センに比べるとより大規模で少品種大量生産の工場が多いが、こちらの賃金も深センに劣らず高騰している。短期では設計・開発が深セン、製造が東莞ほか周辺地域という構造が成り立っているが、それが何十年も続くかはわからない。

4700人のエチオピア人が働く工場
左:現時点で4700人のエチオピア人が働いている/右:工場は積極的に拡大中。空港と見まがうサイズの建物にはまだ労働者の採用と教育が間に合わないラインも並ぶ中、新しい棟も続々建設されている