不正にかかわった経営者と行員のいずれについても、今回のケースがおうように許されるのなら、われわれは今後わが国の銀行を信じることができなくなる。

 かつて、バランスシートの損失を隠す「飛ばし」を行った山一證券に対する金融当局の処分は「自主廃業」だったが、さて、預金者と株主を大規模に裏切る違法行為を組織的に働いたスルガ銀行にはどのような処置を取るのだろうか。

 一方、今回のスルガ銀行の問題では、行員による内部告発が少ないのが少々残念だった。無理な営業目標を押しつけられて不正に関わったことが、銀行員として無念でないはずがない。今の雇用情勢なら転職は容易だ。行員からの問題指摘はもっとあってもよかったのではないか。

 さて、ある不動産業界に詳しい評論家によると、スルガ銀行は「案件に対するローンがなかなか下りないときの駆け込み寺」的な存在だったというが、スルガ銀行以外にも、信用リスクの大きな不動産にローンをつけてくれる金融機関はあるという。

 今回明らかになったスルガ銀行の不正は、規模とレベルが特殊だったのかもしれないが、“スルガ銀行的”なビジネスは、他の金融機関でも行われていたと推測できる。

 バランスシートにスルガ銀行的なリスクを抱えている金融機関は、少なからずあるだろう。そして、そのうちのいくつかは、これまでの過程でスルガ銀行ほど儲けてこなかっただろう。スルガ銀行追随組のリスク吸収能力は、大きくないはずだ。

地銀ビジネスモデルの行き詰まり

 スルガ銀行のような地方金融機関について、ビジネスモデルの行き詰まりが、近年よく指摘されるところだ。

 しかし、少し前を振り返るなら、スルガ銀行は行き詰まり的な地方金融機関のビジネス環境にあって、優れた経営戦略によって高収益を挙げているとして監督官庁から賞賛される模範的な存在だった。

 ここに至って金融庁を「見る目がない」となじるのは簡単だが、もともと官庁にビジネスの良しあしを見極める能力など期待すべくもない。現時点で彼らを笑う権利があるのは、スルガ銀行の株式を以前から空売りしていたファンドくらいのものだろう。