JR東は山手線以外にも
広告デジタル化を拡大

 ところが今月4日、JR東日本はE235系の近郊型車両を2020年度から横須賀線・総武線快速に投入し、ここにも同様のデジタルサイネージを設置すると発表した。広告デジタル化を山手線だけにとどめず、各路線に拡大していく方針であると示したのである。

 広告デジタル化のメリットはいくつかある。紙媒体の広告は車庫や折り返し駅で作業員が手で付け替えている。1種類の広告でも納入は数千枚になり、管理や保管、掲出に撤去など相当の費用がかかっている。これがデータ送信で済むのであれば相当の効率化になる。

 ただ、現時点では最も掲出頻度の高い中づり広告のデジタル化には至っておらず、まだメリットとしては大きくない。むしろ主眼に置かれているのは媒体価値の向上である。

 紙の広告は、一度付けたら外すまでそのままだ。いくつもの県をまたいで運行する列車だと、全く違う地域の広告を目にすることも珍しくない。平日と土休日で利用者層が違う路線であっても、相手によって内容を変えることはできなかった。それが、デジタル化によって時間、場所に応じた切り替えが可能となり、ひとつの枠をより多くのクライアントに販売することも可能になる。もちろん動画広告となることで、表現の幅が広がり、注目度が上がるという効果もある。

 こうした背景には、交通広告を巡る状況の変化がある。電通の「2017年 日本の広告費」によると、中づり・まど上広告など、紙媒体の落ち込みにより、交通広告の市場規模は2015年の2044億円から、2016年の2003億円、2017年の2002億円と減少傾向が続いているのである。一方、大都市を中心に新規設置が進む車内・駅構内のデジタルサイネージは大幅に伸びており、媒体の世代交代が進んでいることを示している。